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ぽかぽか春庭「染め物図案あかね会 in 丸紅ギャラリー」

2023-08-26 00:00:01 | エッセイ、コラム


20230824
ぽかぽか春庭アート散歩>2023アート散歩(4)染め物図案あかね会 in 丸紅ギャラリー

 「染織図案とあかね會―その思いを今につむぐ―」という展覧会が、丸紅ギャラリー開館記念展Ⅳとして開催されました。
 染めと織りは、私が追いかけていきたい「糸の仕事」の柱。どんな展示かなあと思ってはいたのですが、暑さの中出かけるのもためらわれがちでした。少しは暑さがやわらいでからにしようかと思っていたのですが、7月31日にチェックしてみたら、会期が7月31日まで。あらら、今日で終わりだ、と、あわてて出かけました。

会期:2023年5月16日-7月31日 
   会場が狭いので、展示は前期と後期で変わり、私が観覧したのは、後期後期7月3日~7月31日 

 きもの図案の展示だけに着物を着て来館した人が多いなあと思ったら、着物浴衣を着て来館した人は無料とありました。なるほど。こちらはいつものジーンズにシャツ。500円払いました。「入場料は丸紅基金に全額寄付」ということですが、丸紅、商売で儲けているのだから、入場無料にしてほしい。
 展示室は2室で、展示数は前期24点後期24点。着物を作る前の図案の展示はそうそう見ることがないので、よい展示と思いましたが、展示数に対するコスパ悪し。展示1点につきいくら、なんていうけち臭い計算をするような人は、アートを楽しむべきじゃないのは承知の上なれど、貧乏人は、ついつい、65歳または70歳以上無料、という制度をありがたく思う次第。

 丸紅が所有する600点もの染織図案コレクション。大正末期から昭和初期にかけて、丸紅の前身である丸紅商店が「草の葉会」や「あかね会」といった染織図案研究会を主宰し、画壇を代表する、日本画洋画彫刻家などの異なる分野のアーティスト総勢70名が参加して染織品の新しい意匠を模索する試みの中で生み出された図案集が保存されています。あかね会会員の名前がずらりと並べられたパネルがありましたが、主なアーティストだけ見ても、竹内栖鳳、西村五雲、土田麦僊、藤島武二、石井柏亭、向井寛三郎、杉浦非水 。朝倉文夫と、綺羅星のごとく。 
 
 丸紅ギャラリーの口上
 1858年の近江麻布の持ち下り商い開始を創業とし、染呉服商として事業を拡大してきた丸紅は、染織品の新しいデザインを模索するために昭和初期から染織図案研究会「あかね會」を主宰しました。日本画家の竹内栖鳳、洋画家の藤島武二、彫刻家の朝倉文夫など多様なジャンルの芸術家約70名がこの研究会に参加し、彼らによって描かれた染織図案は約600点にのぼります。本展では、あかね會で生まれた独創的で個性的な染織図案や、それらをもとに作られた着物や帯を紹介することで、染織品の意匠であり通常は表に出ることのない染織図案の魅力を浮き彫りにしていきます。

磯つづれ


 杉浦勉館長の解説
 1920年代、本格的な東京進出を控え、当時の副社長である伊藤忠三は、呉服商品のサンプル約1000枚を持って上京します。そして、以前より懇意にしていた三越百貨店の仕入部部長にそのサンプルを見せたのですが、『良いと思ったものは3枚くらいしかない』と言われてしまう。商品に自信があった伊藤はとてもショックを受けました。東京の人に受け入れられる図案ではなかったのです。ショックを受けた伊藤は、丸紅の商品が東京でも受け入れられるにはどうすればいいのかを考え、商品をその土地や時代に合わせるため、「染織図案」のブラッシュアップが必要だ、と結論づけた。染織図案とは、染織品のために考え出されたデザイン(下絵)のことだ。 
 「あかね會」は、丸紅商店の京都支店を中心に発足した染織図案の研究会。当時最前線で活躍していた竹内栖鳳や菊池契月、岡田三郎助に藤島武二、朝倉文夫ら、ジャンルを越えた芸術家、評論家たち約70名が参加している。丸紅商店はあかね會の参加者たちに、染織品や着物のためのオリジナルの図案を毎年考案してもらい、その図案をもとに、職人たちが着物や帯などの染織品を制作。毎年開催される「染織逸品会」で新作として披露するスタイルを構築した。 

 

 以下、室内撮影は禁止でしたが、できる限り見てきたものの記憶をたどります。(画像は部分です)

澤田宗山「図案 朝顔」 1929年 紙本着色 
 
 この図案を元にして制作された着物(制作=京友禅作家坂井修 2023年友禅染)」が見える入口付近の展示室内


土田麦僊 「芍薬」1932年


東郷青児「無題」1935年


田中善之助 「翡翠」 1928年)
 

朝倉文夫「浜千鳥」1928



朝倉文夫「薔薇」1959


杉浦非水「無題」1929


 「白百合」


 展示室内は撮影禁止でしたが、廊下に映写された着物図案は撮影自由。ただ、薄い色合いの図だと、床がすけてしまうので、図案がわかりづらい。





 床に映写された図案がつぎつぎに変わっていくので、まごまごしていると次の図柄になっていきます。
 映写で見た図案のすべてが展示されているのではないですが、丸紅が所蔵する着物図案原画のさまざまな美を知ることができました。そうそう、あかね会の図によって制作された着物の展示会は「染織美術展覧会 」は。略称を「美展 」と呼ばれ、「美」を着物に表現してきました。
 私が着物を着ることは浴衣以外にはなくなって久しいですが、目で美しさをめでる着物は今も大好きです。

<おわり>
コメント
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