20240425
ぽかぽか春庭アート散歩>2024アート散歩小樽芸術村(3)似鳥美術館
似鳥美術館は、旧北海道拓殖銀行小樽支店 の建物を利用して開館しました。
1階は、ティファニーがデザインしたステンドグラスの展示。ヨーロッパ教会のステンドグラス展示が主だったステンドグラス美術館とことなり、20世紀のガラスランプなどのデザインを手がけたルイス・C・ティファニー(1848-1933)。アール・ヌーボーの工芸アーティストとして、活躍しました。父チャールズ・ルイス・ティファニーが創立した宝飾店の後継者にと望まれましたが、それを拒否して自分自身のガラス工房を経営。のちに父とは和解しましたが、父の死後、ティファニー本社の顧問を辞し、ルイスのガラス工房は倒産。
教会のステンドグラスとはことなる華麗なアールヌーボーデザインのステンドグラスやガラス製品で84室もあったという自宅を飾りましたが、ガラスの王国を築いたルイスの死後四半世紀、1957年に自宅は消失。美術館に収められたり、個人が収集したステンドグラスが残り、私たちが目にすることができます。(1階は撮影自由)
ティファニーのステンドグラス
2階西洋美術3階日本美術と、盛りだくさんのコレクション。2階エレベーター前にあった岡本太郎のいす。いすですが、芸術作品なので、座っても触ってもいけない。
日本の画家たちの絵
ユトリロ「ムーランの大聖堂」
地下1階から4階まで、たくさんの収蔵品があるのですが、いちばんの目玉といえるのは、藤田嗣治の『カフェにて』です。2018年に収蔵された作品ですが、この展示方法が他の美術館と異なっているところ。絵の売買を目的とする画廊などではよくあることですが、美術館で見たのは初めてだったので、ちょっと驚き。なんと絵の横に価格が出ていたのです。テレビの人気番組「開運なんでも鑑定団」に鑑定依頼が出されました。本物の藤田嗣治の作品と判明し、10億円という価格が出されました。似鳥昭雄が「ニトリ」で儲けた金をつぎ込んで購入しました。そして、さすが商売の人。絵のとなりに「なんでも鑑定団で10億円の鑑定結果がでました」と、値段を掲げたのです。観覧者は「へぇ、10億円だって」と、言いながら値段に感心して観覧していきます。これぞ庶民の鑑賞法。お金を得たあとは上品趣味に己を装う金持ちが多いですが、ニトリさんのように、「金のチカラ!」というのを隠そうとしない展示方法、はじめてなので、いっそあっぱれと思いました。
「カフェにて」は、同一画題がポンピドーセンターにもあります。こちらは、なんでも鑑定団に出品したらどんな値段がつくのでしょうか。
お金持ちが散財したいとき、ギャンブルするよりずっと私たちにとってはありがたいですから、どんどん収集してほしいです。
タイトル「10億円byなんでも鑑定団」
<おわり>