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ぽかぽか春庭「ハニワとキティ散歩」

2024-11-07 00:00:01 | エッセイ、コラム
20241107
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2024二十四節季日記秋(3)ハニワとキティ散歩

 東洋史専攻の歴史好きタカ氏が「はにわ展」を見るというので、同行。タカ氏の事務所からタクシーで東京国立博物館へ。

 はじめに、東博の庭へ。東洋館まえから本館東側の日本庭園を通り抜けて平成館へ行く「通り抜け散歩」を歩く。タカ氏は東博には何度も来ているけれど、日本庭園を通って平成館へ行くのは初めてだと。そもそも東博に日本庭園がくっついていることを知らなかった。庭園公開は時期によりけりなので、いつも開いているわけじゃないし、私も急いで観覧、というときには庭はパス。

 タカ氏は「上野公園や動物園だけでもけっこう広いのに、東博もこんな広い日本庭園を持っていたんだなあ」と、日本庭園の広がりを見て「ここ、マンションなんぞ建てないで、よくぞ緑のまま残したなあ」と感心しています。
 家康が江戸鬼門の守りとして建立した東叡山寛永寺の広大な寺域。勝てば官軍の明治政府兵部省は、寛永寺の敷地を陸軍病院と陸軍墓地の用地として決定しました。しかし、これに猛反発をしたのがオランダ人軍医・ボードワン博士。彼は、上野の山を緑豊かな公園として残すよう提言しました。

 敗残側の人々をちゃんと祀らないと祟りがあるというのは日本古来の思想ですから、彰義隊の死体が200体もごろごろと残されたままになっていたという上野の山に寛永寺由来の緑を残し、明治10年の敗残側である西郷隆盛銅像を建てたのは、平将門やら崇徳天皇やら「祟り神」の思想が江戸の町によく知られていて、明治政府も祟りを恐れただろうと、私は想像しています。菅原道真やら 祟り神はちゃんと祀れば守り神になります。ボードワン博士は、たぶん祟り神のことなんぞ知らずに、「近代都市には、民衆の憩いの場となる公園が必需」と思っていたのでしょうが、博士の提言をただちに受け入れた政府側には、きっと自らが敗走せしめた人々を鎮めたいとの気持ちがあったろうと、これはだれも記録にも残していないことですけれど、私の、民俗学的文化人類学的神話学的、勝手な想像。
 
 平日の午後だというのに、東洋館の前が大行列でした。キティちゃん展をみるための列です。


 あとで娘に聞くと、1日はキティ展の初日に当たり、グッズなどが売り切れる前に手に入れようとするファンが押し掛けたのだろうと。娘はキティ展の前売り券を買っていましたが、13時半に最後尾240分待ち15時半に120分待ちという私の話を聞いて、「ほとぼりさめてからいくことにする」と。
 キティにまったく関心のないタカ氏は、世の中にこれほどのキティファンがいることに驚いていました。11月3日にはサンリオ側からおわびのことばが発表されました。転売ヤーが希少グッズの高値転売を狙って長行列になったのを、事前にうまくさばく運営ができなかったことをわびたのです。

 娘は保育園にキティちゃんがついた赤い通園バッグを持って通っていましたし、キティちゃんの絵本も何冊も持っていましたが、何度か引っ越しするときに処分したものも多い。娘が言うには、初期のキティちゃんグッズはそれほど数がでていなかったので、通園バッグも使用済みのものであっても、今オークションにだせば、そこそこの値段がついただろうと。
 ネットで調べると赤いキティバッグ、三千円でオークションに出ていました。惜しかったな。とっておきゃよかった。

 処分してしまって惜しかったと私が後悔しているのは、埴輪の複製品「踊るはにわ」です。東博所蔵品の実物大レプリカが学生時代から長年大事にもされずに部屋のすみにころがっていました。2011年3月に部屋の中がぐちゃぐちゃになったのを片付ける際、食器棚から落ちて欠けた皿やコップといっしょに捨ててしまいました。「これは今すぐ役立たないものは捨てるように」という天のお達しだろうと感じて。
 40年前に処分したキティちゃんバッグも、13年前に捨てた「踊る人はにわ」も、心の中に残っているからいいと思うのですが。

 はにわにあまり関心がない娘は、11月1日は西洋美術館のモネ展観覧。私は、はにわ展の後、東京都美術館の田中一村展へ。一村にあまり興味を持たなかったタカ氏と別れ、ゆっくり一村展を見た後、モネ展を見終わった娘と、上野駅中の下町洋食屋で待ち合わせ。私はビールハムカツセット、娘はオムライス。

 エキナカの上野みやげショップで見ると、「はにわ踊る人」のレプリカには2万5千円の値札がついていました。ぎょえっ。捨てるんじゃなかった。日頃、天の声も夫の声も無視して生きていたのに、震災後も揺れが続く気がする「震災酔い」の中で聞いた天の声。天が捨てろっていうから、二万五千円分捨てちゃったよ。 
 

 娘がひとりで見てきた西洋美術館のモネ展、タカ氏と年末あたりの混んでいなそうな時期に行くことにしています。

<おわり>
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