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ぽかぽか春庭「刀剣-もののふのこころ展 in サントリー美術館」

2021-12-04 00:00:01 | エッセイ、コラム


20211204
ぽかぽか春庭アートさんぽ>2021アート散歩秋(4)刀剣もののふのこころ展 in サントリー美術館

 9月23日、サントリー美術館年間パスポート最後の観覧に出かけました。年間6000円のパスポート、購入者とその連れが無料になり1年間何度でも入館できます。貧乏人のせこい計算。一人1500円の入場料×ふたりで3000円。2回見れば元はとれるところ、4回観覧したのですから、お得なうえ、パスポート会員は、単眼鏡を無料で借りられるので、娘とふたり、絵巻物や屏風絵の細かい部分を詳しく見て楽しむことができました。
 4回目のサントリー「刀剣もののふのこころ展」
 会期 2021年9月15日-10月31日

 「もののふの心」展、展示室に入るまえの入口垂れ幕。


 「刀剣ーもののふの心」展。私も娘も、刀剣を何度見ても「全部同じ刀に見える」という不調法もので、さっぱり刀剣のよさがわかりません。刃紋を見てきれいだなあと思う程度。

 世の「刀剣女子」は、好きな刀剣の展示があれば、日本全国かけまわって「子狐丸さま~」とか「三日月宗近さま!」と憧れのまなざしを向けるのに、私は、京都国立博物館での刀剣展、両国の刀剣博物館などで、かなりの数の名刀名剣を見てきたのに、いっこう目がきかない。

 今回も、娘と「刀剣には興味ないけど、屏風などにいいものが展示されているらしいから、年間パス最後だし、見ておこう」と出かけたのです。サントリー美術館、前回前々回の館所蔵のコレクション展は撮影自由でしたが、今回は他館からの借り入れ展示品もあるためか、撮影禁止でした。

 唯一撮影OKの場所は、アニメ「刀剣乱舞」オンラインゲームの主人公たち(擬人化された刀剣)といっしょに写真を撮るコーナー。私はアニメにもまったく興味を持っていなかったのですが、撮影待ちの人がいなかったので、娘とかわりばんこにシャッターを押しました。いっしょに写しても、このイケメンがどんな刀剣なのか、剣士なのかもわかっていない。
 チェックしてみたら。
 左から骨喰藤四郎 秋田藤四郎 春庭ドしろうと 宗三左文字 膝丸



 館内展示のようす

 武士たちの生活をしのばせる絵も多数。
 国宝「厩図」は、東京国立博物館からの借り物。

 厩につながれた馬の表情。「犬追物」に使われているであろう犬が、つながれてもおらず、武士屋敷でのびのびと暮らしているようす。法師と碁を打つ武士のようす。もののふたちの暮らしがしのばれる国宝でした。

<つづく>
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ぽかぽか春庭「武蔵野図屏風」

2021-12-02 00:00:01 | エッセイ、コラム
20211202
ぽかぽか春庭アート散歩>2021アート散歩秋(3)武蔵野図屏風

 日本画の題材のひとつに、歌枕(日本各地の有名な光景のうち、和歌に読み込まれた名所旧跡)を絵に描く、という描き方があります。

 たとえば、「白河の関」という歌枕、平安初期に大和朝廷の力が奥州に広がったころ作られた関所のひとつですが、京都関西の人々はほとんど実際には訪れることもない遠い地名です。平安中期にはすでに廃止され、どこに関所があったのかもわからなくなっていました。
 しかし、能因法師が「都をば霞とともに立ちしかど秋風ぞ吹く白河の関」
と和歌に詠んだことにより、都の人々は「白河の関」という地名を聞けば能因法師の歌を思い起こし、遠い奥州のはるかな土地に想像力をかきたてられたのです。

 平安・鎌倉の昔、武蔵野は都人にとってススキほかの雑草が生い茂る、広々としたというより茫漠というしかない原野でした。
 武蔵野に赴任した役人(たとえば更級日記作者の父)などから伝え聞いた話をもとに歌が詠まれ、新古今集などに伝えられました。
 「武蔵野」という地名も、都の人にとっては、奥州におとらず「遠いロマンの地」でした。

 「行く末は空もひとつの武蔵野に草の原より出づる月影(『新古今集』)」
 「武蔵野は月の入るべき山もなし草より出でて 草にこそ入れ(『続古今和歌集』)
 「武蔵野は月の入るべき嶺もなし尾花が末にかかる白雲(『続古今和歌集』)」

 これらの和歌をもとに、「むさしの図」は屏風絵の題材などに好まれました。
 これらの「武蔵野図」のひとつ、サントリー美術館所蔵の国宝です。


 2020年9月から2021年9月まで、にサントリー美術館の年間パスを購入して、展示されていた「武蔵野図」を見ました。

 東京国立博物館の展示でも「武蔵野図屏風」がありました。
 私の撮影したものだと、あまりよく映っていません。


 
 私は、サントリーの武蔵野図も東博の武蔵野図も、同じようなものだと思っていて、どちらも「ふむ、武蔵野の野原と月の取り合わせ」と、眺めていました。

 ずっと見栄えのいい武蔵野図屏風左隻


 美しい武蔵野図ですが、描いた人は不明。だれが、どんな人の注文に応じて武蔵野の情景をかいたのだろうと、想像するのも見る人の愉しみ。

 絵ハガキでもカレンダーでも「絵を見ることは楽しい」という粗雑な感性の持ち主春庭です。「どの武蔵野図もすてき」という程度で、どれがどれやらわからないのも困ったもの。考証を重ねたり構図や顔料の組成を研究するなどの本格的な美術鑑賞もありでしょうが、いくつもある「武蔵野図」の区別もつかず楽しむという見方でも、絵を見ることを楽しめた、という点では同じ(負け惜しみ)

<つづく>
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