晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

雪中八策 防獣編(21) 3/15

2012-03-15 | インポート

2012.3.15(木)雨、曇

 野生動物を奥山に追いやっていた「人間の営みの圧力」こそが防獣の根本的な解決策として、里山や山に人間の営みを復活し、里山、山の再生をすることを説いてきたのだが、その発想の発端となった田口洋美さん(東北芸術工科大学校教授)の説の趣旨は別の所にある。氏は狩猟と農耕のバランスが大切と説いておられる。

 「農耕と狩猟の、自然に対する立場は矛盾したものです。しかしこれが助け合う関係になるのです。量子力学で言う相補性という考え方です。つまり、狩猟者は野生鳥獣が居てほしい。農耕民は農地周辺の野生鳥獣にいてほしくない。だから狩猟者が農耕地の周囲を猟場にし、野生鳥獣を捕獲する。狩猟と農耕は分かちがたい絆で結ばれるのです。」とまあ、なんとも美しい理論なのである。語っておられる理想は充分理解できるのだが、現実とはあまりにかけ離れているので、鉄条網の中で悶々と日を送っている私たちには、「諦めなさいよ」と言われているようにさえ思える。
 
 農耕以前から人間の生活を担ってきた狩猟が現在どのような状態にあるのか、知る人は少ないだろう。わたしもその実態はよく知らない。上林には二人の猟師さんがおられることを聞いているが、これだけひろい地域の駆除なり殺処分をお願いしているわけだ。しかし猟で生計が成り立つのか、後継者はあるのか、絶対数は足りてるのか、将来はどうなるのか等々の情報は持っていない。最近他地域ではあるが猟師の方と面識が得られたので、機会があればその辺のところを聞いてみようと思っている。2011120619460000
 
これは今季の地元の猪肉である。実に脂がのっていて美味しい。前期は肉質が悪くて売り物にならなかったそうだが、気候や山の食糧などが影響するようだ。






 一般には職業としてほとんど認識されていない猟師、その狩猟と農耕がバランスを持ってと言われても雲をつかむような話である。
 古代には主要産業であった狩猟がすっかり影をひそめた理由は、やはりそれで食べられなくなったからだと思う。それは食肉が野生動物から家畜に変わったからだろう。ただ過去の、仏教思想による食肉習慣の衰退というのは我々が考えているほど影響のあるものではないかもしれない。田口先生も野生動物は食されており、家畜とは明確に区別されていたと述べておられる。
 近代になって、野生動物の食肉としての需要、二次生産物としての毛皮などの需要が減ったことが狩猟の衰退となったと考える。決して乱獲による動物個体数の減少とは思えないのである。つづく

【作業日誌 3/15】
郵便受け箱改造(水濡れ対策、装飾)P1010287_2

今朝の雪で中が少し濡れていた。開閉する蓋を付けることにする。


今日のじょん:又しても雪が降った。八時頃から雨になってきたので、みるみる解けてしまったが、レインコートは必需品。ぽんぽこぽんで強烈木下やえこさんも取れるようになった。えらい進歩である。P1010289

コメント
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