2018.7.16(月)快晴 二つの大栗を訪ねる-4
十倉と忠の大栗について、その共通点の多さに驚く。
共通点
①上林川の左岸にあり、ゆったりした流れが両岸が狭まり急流となる地点にある。そのため大雨の際は流れが遮られ、災害の原因となっている。
②左岸から谷が流れ込んでいる。
③大栗から下流は流れが速く、屈曲し、大きな岩が見られるようになる。
④古墳がある。
相違する点
①忠の大栗は上林川が狭隘となる地点の上にあり、十倉の大栗は下にある。
②忠の大栗は川沿いの細長い地域、十倉の大栗は川沿いから山の斜面を含んだ広い地域。
③古墳は十倉志茂町大栗にあるが、忠町は堂ノ下にある。
④周囲の小字名に似通ったものはない。
この二カ所の大栗でもって大栗地名の解明をすることはきわめて危険なことである。ただ、あまりにも似通った二つの大栗を見るとき、確定は出来ないがいくつかの候補を挙げることは許されるだろう。
1.岩床、河川の岩塊
「クリ・グリ」というのは小石から大きな岩、ひいては崖まで表している。特に日本海側では海中の岩礁や海面に突き出た岩などを~グリと表している。(赤礁、サバ礁、ハナ礁など)漁場としては良いが船の航行には危険な地帯である。ちょうど上林川が瀬に変わって、岩床、顕岩が現れるところが大栗と呼ばれたのではないだろうか。
古墳時代以前の交通としては河川は重要な手段である。歩くにしても船を使うにしても、大栗は注意すべき地点である。
忠(左)と十倉(右)の大栗付近、増水しても見えるのはそこそこ大きな岩である。
2.急流、曲流
災害地名ハンドブック(小川豊著)に蛇行地形(曲流)と書かれている。とちぎの地名を探る(塙静夫著)に栃木県栗野町中栗野字大栗(現鹿沼市)という栗地名オンパレードのところが紹介されているが、栗野川が90度曲がっている。漢字の読み方でクリと読ませたものだろうが、ハングルでは曲流はコッリュウ、急流はクウリュウと読まれ、どちらかというと急流の方がクリに近い。
3.古墳石材との関係
綾部工業団地の中に城山町栗ヶ丘というとこがあり、12基の古墳がある。日本地名大辞典には町名も小字名も出てこないので、新しく作られた地名かもしれない。昔からある地名だとすると古墳に使われた石のことを言っているのかもしれない。ただ古墳が造られた当時は古墳は土に覆われていたと考えられるので、石材が現れてから付けられた地名か石材とする石がその辺りに多くあったためかもしれない。
忠町の古墳石材は角の取れた川の石というより角張った山の石のようである。大栗の林道を歩いているとその上の斜面にそれらしい石がある。奈良や大阪の古墳のように遠くから石材を運んでくるほどの規模ではないので手近で間に合わせたと思われるが、その場所が大栗だったら、忠町と十倉志茂町の古墳と大栗の関係が見えてくる。
忠の古墳、畑の中にある。
【今日のじょん】おとうの分別ゴミ箱が完成した。構想2年作製期間2ヶ月、じょんはキョーミなさそう。