2020.1.5(日)曇り
②尾根は末端が急なので、谷を遡ってから取り付いたが、③尾根はさほどでもないので末端から取り付く。灌木の中をハアハアいいながら登っていくのはこれが捜索でなかったら結構楽しい登山だ。尾根の右と左を手分けして捜索する。「のび~」「のびちゃ~ん」と呼ぶ声が頼もしくもあり、虚しくもある。昨日同様時々立ち止まって鳴き声や物音がしないか耳を澄ます。森の中は気味が悪いほど静まりかえっていた。やがて稜線に出合い一服する。一人だと絶対にしない休憩だ。山のことや犬のことなどとりとめのないことを話し、随分気が紛らわせた。二人で来た甲斐があったと言うものだ。稜線を左にとり、昨日の②尾根のジャンクションを過ぎる。やがて①尾根のアンテナ残骸に着く。ここから①尾根を下り、尾根の西側斜面を仲林さんに、わたしは東側斜面を重点的に見ながら下っていく。最終的にのびが姿を消した竹林に出て午前中の捜索を終える。
①尾根、②尾根、③尾根
次に井根の空き家や倉庫、小屋などをしらみつぶしに捜索する。時々人が来られる家も縁の下など覗いて廻る。そして発泡スチロールの容器に餌を入れて、了解の得られるところに置いていく。篠塚さんの小屋に置かせてもらったら、「捕獲檻を使ったらどうや」と勧められる。なるほどのびの大きさなら小型の檻に入りそうだ。帰ったら檻を持ってる人に借りようと決める。
続いて古気良谷周辺の空き家や小屋を捜索、こちらは数が少ない。それよりも谷筋に餌を置いてはと考えたが、天気は悪くなりそうで濡れないところを探す。今から思えば濡れたっていいのだけど、その時は濡れないところを探し回った。そして唯一、最奥の二股の左股入口辺りの倒木の下にいい場所を見つけて置いてきた。これが偶然なのか必然なのか解らないのだけど、のびを保護した斜面の下になるのだ。
古気良谷左俣の倒木の下に餌を置く。
帰宅して捕獲器の籠を借りるべく電話をかけ始めたが、とある理由でこの取り組みは止めることにする。捕獲したウサギがカラスにつつかれて死んでしまったという情報があったからだ。のびが動けなくなった場合一番恐れるのはキツネだが、カラスはその次に恐れる存在だ。つまり捕獲器は常に目の届くところでないと使うのは難しい。
のびが失踪して4日目、その間情報は1件だけ、それも不確かな情報で確信はない。このことをどうとらえたらいいのだろう。
生死はともかく山の中に居るか里に降りてもとんでもない遠いところに行っているということではないだろうか。前者の場合今まで通り山中を捜索するしかない。後者の場合は、チラシの範囲を拡げて南は京丹波町、北は舞鶴の手前まで配布すべきと考えた。明日は印刷屋に頼んで大量のチラシをつくって配布しようと考えて床につく。何かをやってないとたまらない、疲れているのですぐに眠れるが一旦目が覚めるともう寝られない。うなされてのたうち回る長い夜が続いているとき、「こんばんは」といってドアを叩く音に飛び起きたのだった。そして奇跡的な救出劇が始まる。
【今日の”のびちゃん”】NO.20
年も明けた3日のこと、じょんのお墓参りと初泳ぎのためうみんぴあに行く。舞鶴の霊園はのびは初めてなので落ち着かない様子だったが、うみんぴあ芝生広場は2回目なのでのびのびと散歩していた。そしてもうひとつ、車の乗り降りがスムーズに出来るようになったことも嬉しい。