晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

のび逃走始末記-9 1/20

2020-01-20 | Dog

2020.1.20(月)曇り のび逃走始末記-8は2020.1.10

 のびが来て今日で4ヶ月になる。今もサークルでのんびり寝ているが、こんな時間があるのも奇跡的で大変幸せなことだと思っている。人間は幸せになるために営々と苦労を重ねていくのだが、いとも簡単に瞬間に不幸のどん底に落ちることがある。それは自分に責めがあるとないとにかかわらずだ。神も仏もないものかと思われるが、そこから偶然的に立ち直ったら、神さまって居るのかなあなんて勝手な思いがするものだ。
 さて前回の続きを書くとしよう。
 では「野生のスイッチ」はどこで入ったのだろう。最初のカラビナを落したときはのびもわたしも落ち着いていた。さっとカラビナを拾おうとしたときスッと逃げてしまった。それでも追いかけてはいけないとゆっくり歩いていったのだが、動く度に砂利の上を滑るカラビナがカラカラと音を立てる。実はこの音に以前から脅えていたようすがあったのでやばいなーとは思ったが、走って逃げる様子ではなくトコトコと歩いていく感じで府道に消えていった。ただ「待て」とか「おうち入り」といういつも使っているコマンドは届かなかった。
 一旦霧の中に見失って、次に出逢ったときには軽トラの男性に追いかけられているところだった。

家を飛び出して、最初に見つけたのはこの三叉路。軽トラのおじさんが捕まえようとしてくれていた。
 この時点でのびは犬が変わっていた。目つきは非常に厳しくなっており、行動も見違えるほど敏捷であった。もちろんその男性も親切心でなされたことなんだが、もう既に我々の手で捕獲できる情況では無くなっていたのだと思う。二台の車で追いかけて三人で取り囲んだ2回目のチャンス、バイクで追いかけて石垣に追い詰めた3回目のチャンスも見事に失敗した。きっとセンターに来る前に放し飼いの20頭近い仲間が、追いかけ回されて捕獲されたのだろう。それらの記憶がPTSDとなって野生のスイッチを入れてしまったものと思われる。
 「
絶対に追いかけたら駄目、座って行き先を見守ること」とSさんからの忠告があったが、そのことを事前に知っていてもあの時点で出来たかどうか疑わしい。実はわたしは近所の逃げた犬を捕まえるのが得意だったのだ。チコは何度も、ヘイヘイは二度、佃町から逃げてきたユキはうちに連れ帰って預かったが、いずれものびのような状態にはなっていなかったが、飼い主が捕まえられないような犬を捕まえられたのは彼らに対する責任が無いからかも知れない。別に捕まらなくてもいいやという気持で落ち着いて対処できるので良い結果になったのだろう。のびはそうは行かない。自分の責任で逃したものだから、何が何でも捕まえなくてはならない。捕まえられるか逃してしまうかは、こちらにとっても生きるか死ぬかの情況なのだ。でもその焦りが結局逃してしまうことになったわけだ。つづく

最後に姿が消えた竹藪、藪の中を猛スピードで右方向に逃げていった。
引きずっているカラビナが倒竹に当たってカンカンカンと音を立てていた。
こんなに絶望的な気持ちになったことはそんなにない。 

コメント
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