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『江戸の坂・東京の坂』番外編その2。今回は愛宕神社の坂に挑戦してみる。
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誰でも一度は口ずさんだことがある鉄道唱歌は明治(初版は1900年)に大和田建樹という人が作詞し、神戸まで66番が収められている。その中で有名なのは1番の『汽笛一声新橋を 早我が汽車が離れたり 愛宕の山に入り残る 月を旅路の友として』であるが、その愛宕山にある愛宕神社に向かう坂は男坂・女坂ともにいずれも階段だが、その勾配は中々のものである。
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その前に実は愛宕山は標高25.7mであり、頂上には山の証の三角点がある。今は周囲は高いビルに囲まれているが、江戸時代は東京湾や房総半島まで見える見晴らしの名所で自然の山としては23区内では最高峰である。
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男坂は上から見下ろすとその勾配は尋常でなく驚くが、寛永11年に曲垣平九郎が将軍家光が見ている中この石段を馬で上り、源平の梅の枝を取り、階段を下り、将軍に梅の枝を献上したという故事から出世の石段と言われている。
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その石段を登るのだが、勾配がきつく、真ん中辺りから下を見てもその高さを感じる。今の季節は汗もかかないため、問題なく上がれるが、夏なら汗だらけになりそうである。女坂は男坂の右手にあるが、これも男坂程ではないが、きつい坂であることには変わりない。
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頂上に登ると愛宕神社の鳥居、さらに本殿と続く。その縁起は1603年に徳川家康により防火の神様として祀られたもの。一度は火災で全焼したが、1878年に再建、さらに関東大震災、東京大空襲でも焼失したが、1958年に再建されて今に至る。
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頂上には池や大黒天など3社もある。左手に行くとNHK放送博物館があるが、これは1925年に放送開始後、その年の7月から本放送を始めたのがこの地で、それに因み1956年に建てられたものである。(なお、今はリニューアル工事中である。)
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今は愛宕山からの眺めはビルに阻まれかつての眺めは望めないが、その高さは中々のもの。石段を登らずともエレベーターも設置されたため、楽に登ることもできる。まあ、折角ならば出世の石段を登ることをお勧めしたいが。
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