GWも特に予定もなく、家にいたが、あまり良い天気だったので美術館でもと出かけた。最初の目的地は竹橋の国立近代美術館、現在70周年記念展と銘打ち『重要文化財の秘密』という企画展が開催中。
その中で黒田清輝の『湖畔』が出品されていると聞いた。しかし、調べてみると整理券で規制中、まだ13時というのに入れるのは16時半とTwitterで見て断念。方向を上野に変えて国立博物館で開催中の『特別展東福寺』に行くことに。
上野駅を降りると人でごった返している。これはまた国立博物館の前の日向で待たされることを覚悟して歩く。しかし、チケット販売所は空いていて、大枚2100円をはたき、入場する。やはり音声ガイドがなしでは内容がわからないだろうとまた650円を支払う。
会場の中に入ると東福寺建立の発願をした九条道家、さらに開山に際し招いた円爾(聖一国師)と知らない名前ばかりが出てくる。
円爾は1235年に南宋の禅宗界の重鎮である無準師範(ぶじゅんしばん)に師事する。帰国後博多に承天寺を建立するが焼き討ちに合い、九条道家の招きで京都に東福寺を開く。その際に師である無準師範はあれこれと手伝ってくれたのである。
とにかく禅僧の名前は難しく、中々覚えられない。しかし、たまに蘭渓道隆とか、兀庵普寧など大学入試で無理やり覚えた名前が出てきて懐かしかった。
さらに第15代住職である虎関師練が書いた『虎一文字』。表すものが虎というか、カメレオンというか不思議な字(絵)なのか、はたまた坐禅する己れなのか、考えるだけで面白い。
展覧会の目玉である吉山明兆の残した絵、肖像画あり、風景画あり、とにかくすごい。細密さと豪快さを併せ持つ『白衣観音図)の3.26mもある絵の迫力に度肝を抜かれる。
しかし、すごいのは次に飾られた『五百羅漢図』、一枚の絵に10人の羅漢、これが50幅本として描かれた作で東福寺には45幅現存する。
五百羅漢図は14年にわたり修復し、完成したものである。絵自体は教えがあるものだけではなく、風呂に入る羅漢、鼻毛や髪の毛を剃る羅漢など人間味もある絵が面白い。
最後にお待ちかねの仏像、焼けてしまう前の旧本尊の手のみが残るが左手だけで2.2mもあり、さぞや大きな仏像だったのだろうと想像される。他にも現在の脇侍であれ迦葉・阿難立像や四天王立像などもレベルの高さを感じることができた。
展覧会を見て思ったことは①さすがに京都五山の4番目に位置する寺院だが、度々の火災さえなければどれだけの規模だったのだろうか、②とにかく門や仏像、本堂の大きさなどスケールが大きい寺であり、京都生まれながら、私があまりに見ていないことを少し後悔、③さらに如何に禅僧の名前が難しいかの3点である。興味のある方は明日までやっているので是非の見学をお勧めしたい。
最後に私もぜひ東福寺に行って明兆作の涅槃図を現地で見たいと強く思った。