Bruce Springsteen & Jackson Browne - Running On Empty
PART1はこちら。
「高校教育で女子に(三角関数の)サイン、コサイン、タンジェントを教えて何になるのか」
鹿児島県の伊藤祐一郎知事の発言。この人は川内原発の再稼働に誰よりも積極的だった人だし、避難計画の策定にも及び腰だったので、いわゆるガチガチ保守。しかも東北人からするとびっくりするくらい男尊女卑的な風土が色濃く残っている九州人のことなので……と差し引いてもこの発言はすごいな。
問題は、この言葉がどんな場で発せられたかだ。これがいわゆる、首長と教育委員会が教育行政について“話し合う”ために設置されることになった総合教育会議においてだったのである。つまり、この春から日本においては、このような人物の教育観も直接に影響するようになったわけ。
もちろん従前の制度が完璧だったとは言わない。しかし任期中に結果を出せと性急な政治家の意見を容れなければならない新制度にしても、きわめて危険なものをはらんでいることは確かだ。クチがすべった、と開き直るこの御仁に、そんな道理を教えて何になるのか、という気もしますが。
「大阪維新の会の看板を背負った国会議員を、北海道から九州まで誕生させたい」
橋下徹大阪市長の発言。マスコミは大喜びだろう。住民投票に敗れ、政界からの引退を表明し、よくぞ今まで政党としての体裁を守ってきたと驚くほどの維新の会を離党、「大阪に集中させてほしい」と言った舌の根の乾かぬうちに……さすが、劇場型の人だ。記者もしばらくネタには困らない。
この人は例によってイケイケドンドンな気持ちでいるのかもしれない。あるいは、自分のフォロワーをケアする必要に迫られて仕方なく、なのかもしれない(まさかね)。しかし報道を見ていると、ついこの間、自分が至らなかったために負けたと発言した人と同一人物とは……
本日の一曲はジャクソン・ブラウンとブルース・スプリングスティーンの「孤独のランナー」。音楽で世界は変わらないという人もいる。ミュージシャンのなかにもそう自嘲的に語る人も多い。しかしわたしは、この二人が主張した「NO NUKES」をいまも心に刻みつけている。
2015年9月号「野球は平等なスポーツ」につづく。