かつて朝日新聞の秋山惣一郎記者によって、菅直人への評価をまるっきり逆の方向で紹介されてしまった政治哲学者、國分功一郎氏の書。はたして現在の政治体制が、ほんとうに民主主義に依っているのかと問題提起している。
わたしたちは立法権をもつ議員を選挙という方法で選んでいる。その意味で確かに民主。しかし実際にわたしたちの目の前で行われている政治とは、行政の部分の方がはるかに大きく、そして住民は行政に物申すことがほとんどできない。
住民投票は理不尽なほどハードルが高く、首長の権力は圧倒的だ。
國分氏は、その現実を自分の住む小平市において、
「50年も前に計画され」
「すぐ近くに改善すべき街道があり」
「自然豊かな雑木林を切りひらいて」
新たな道路が建設されることになり、住民がなすすべがない状況を目の当たりにした。彼はこれを機に現実にコミットしはじめる……
後半が政治哲学史の様相を呈していて、これが(まったく知らなかったこともあって)面白いんですよ。行政職のはしくれなのにこの方面に昏いというのは致命的なような気もしますが。
一度スタートした計画をストップさせるのがとても難しいというのは、その行政職のはしくれでもよく理解はしているんですが。
さて、今日は山形市長選か。あれこれ考えると、投票するという行為がいかにだいじかがわかる。今回は、冷静になれば誰に入れればいいか、必然的に導かれるような気もします。