PART14「京、ふたり」はこちら。
朝ドラは、長いスパンで見れば次第に視聴率は下がる傾向にあった。「おしん」のような化け物ドラマはともかく、それ以外のドラマでも平均で30%以上の数字をたたき出していたのだから、立派といえば立派だったのだが。しかしNHKはそんな状況を打破するために必殺の企画「君の名は」をもってきた。
その話を聞いて、うわー、そりゃ視聴率とるんだろうなあとわたしは予想した。女風呂から客がいなくなったとか、岸惠子が映画で演じたときの真知子巻きとよばれるストールの巻き方が大流行した、あのドラマのリメイクだし。
そもそも連続テレビ小説は、ラジオ小説のテレビドラマ化だったので、氏家真知子と後宮春樹のすれ違いラジオドラマがヒットしたのだから、必ず朝ドラでも成功するに違いない……
ところがこの企画は大失敗に終わった。平均視聴率が初めて30%を切るなど、視聴者からそっぽを向かれてしまったのだ。
「どうして、みんな見ないのかな」
当時、不思議に思ったので妻に訊いてみた。
「展開がたるくてたるくて」
意味はわかるけどその「たるい」って方言だぞ。さすが道産子。
脚本の井沢満は(「外科医有森冴子」では絶好調だったのに)途中で降板。有森つながりで週刊漫画アクションのコラムでおなじみだった宮村優子などに交代。その宮村さんが現在「花燃ゆ」で更迭されそうという栄枯盛衰。
主演の鈴木京香はのちに「王様のレストラン」などで人気が出たけれども、春樹役の倉田てつをは仮面ライダーBLACKでしか語られない。君の名はライダー。
しかしその後、仮面ライダーや戦隊ものから、多数の男優が朝ドラになだれこむ嚆矢となっている。以下次号。