事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

極私的朝ドラ史PART21 ちゅらさん

2015-09-28 | テレビ番組

 

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2000年後期は、「ふたりっ子」につづいて大石静が脚本に起用された「オードリー」。映画界のお話。女優経験のある大石の自伝的ストーリー。怒涛の展開はあいかわらずだが視聴率は低迷した。橋田壽賀子の例もあるし、脚本家の自伝は成功しづらいのかもしれない。

主演は岡本綾。「東京ゴッドファーザーズ」の吹替などでいい味を出していたが、ある事件のために(かどうかは知らないが)引退状態に。竹内結子といい、中村獅童は朝ドラ女優に罪なことをしたものだ。

そして2001年。21世紀の朝ドラは「ちゅらさん」で幕を開けた。わたし、いまのうちに告白しておきますが、このドラマと「あまちゃん」が朝ドラのツートップです

なぜなら、この「ちゅらさん」における一風館という下宿屋こそ、真の意味でユートピアだったから。まるで「3丁目4番地」(倉本聰)の木下館、「すいか」(木皿泉)のハピネス三茶、そして橋留美子の「めぞん一刻」そのものだ。

脚本の岡田恵和は、実際にその後テレビ朝日で「めぞん一刻」をドラマ化しています。ま、「ちゅらさん」を見れば、誰だって彼にあのコミックをドラマ化してほしくなるはず。

最初は気乗りしないままに見ていたこのドラマ。まず目をひいたのが父親役の堺正章だった。立派さのかけらもなく、生活力もなく、しかしただ「なんくるないさぁ」と楽天的な男。まるで「時間ですよ」のケンちゃんがそのまま沖縄に移り住んだかのよう。彼とおばあ役の平良とみの沖縄のイントネーションがひたすら耳に心地いい。

不機嫌に見えていつも姉を思いやる弟に山田孝之、ヒロインにペースを乱されることに辟易しながら彼女に興味津々の同居人に菅野美穂、あんたの訛りは沖縄じゃなくて博多でしょ鮎川誠など、キャストがみんなすばらしい。

そして誰よりも無意識過剰なヒロイン、えりぃを演じた国仲涼子が魅力的。

バラエティの方に少しだけ軸をうつした朝ドラは新鮮だった。まさしく「時間ですよ」の21世紀バージョン。久世光彦はこのドラマを見てどう思ったろうか。以下次号

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