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ただ、総括のためとはいえ、悪役の動機がボンドへの私怨だったというのは、シリーズ全体の器を小さいものにしてしまっている。究極の敵を倒してしまった以上、ボンドの居場所もなくなってしまう。そのあたりでクレイグ版は今回が最後かと煽られている原因でしょうかね。
ブロッコリ家の家業である007が、今回もヒットした以上、そうはいかないとは思いますが。体型がくずれたら目も当てられないトム・フォードのスーツは、やはりクレイグにぴったりだし、興行的に北米は普通のヒットなのに、本国イギリスで史上最高記録というのも頼もしい。
シリーズを全部見ているというわたしのような人間(リアルタイム的にはさすがにロジャー・ムーアからですよ)にもうれしいネタがたくさん仕込んである。
・オープニング「死者の日」の狂躁は、「ドクター・ノオ」のジャマイカを意識した撮り方
・タイトルがスペクターとくれば悪役の名がブロフェルドなのは理の当然。その明かし方がうまい
・となればもちろん白猫の登場もお約束
・雪上チェイスや、パラシュートを使って悠然と舞い降りるボンドも久しぶり
・ハロルド坂田やヤフェット・コットーのそっくりさん登場!
・デスクにふんぞり返ってばかりいたMが、今回は大活躍。レイフ・ファインズ好きとして感激
・マネーペニーが誰かとベッドにいるなんて!(笑)
・ボンドガールがいればボンドカーもお約束。今回もアストンマーチンなんだけど、実は009用だったというオチが笑える
……さて、今回もラストに“James Bond will return”と字幕が入って終了。満足。でもやっぱりもうちょっとバカっぽいスパイものにしてほしかったな、ということで「コードネームU.N.C.L.E」特集につづく。