映画館はもうSTAR WARS(と妖怪ウォッチ)祭りだろうし(初日だけで1億2千万ドルってどういうことだよ)、だいたい公開は終わったのでもう何言ってもいいですよね「ギャラクシー街道」。
最初にこの企画を聞いたときに、実は首をかしげた。宇宙にぽつんと浮かぶハンバーガーショップを訪れる、変わった登場(宇宙)人物たち……うーん、気持ちはわかるけれども、そそられないなあ。
危惧したとおり、興行は大コケ。悪評罵倒が数限りなくあびせられていて、三谷幸喜もつらいだろう……待て待て。これまで「事務職員へのこの1冊」で、宮藤官九郎と並んで最多出場を誇る(きっとそうだと思う。ページビューも古畑任三郎関係がいまだに強いし)三谷の新作を、評判だけで見逃していいのか。こんなときこそ映画館にかけつけるのがファンというものではないのか!
……行ってきました。うわあこれはまた無惨な。コメディなのに、とにかく笑えないのだ。いったい何がよくなかったのだろう。
コンセプトは理解できる。夫婦愛、不倫、プロポーズ、出産など、これらドラマの定番を、宇宙で起こることにすれば笑いに昇華できるのではないか。しかもお得意のハートウォーミングな、フランク・キャプラのタッチでくるめば東宝もフジテレビも喜んでくれるはず、「奥様は魔女」のようなアメリカンコメディの雰囲気で観客も大爆笑するはず……だったのに。
まず、香取慎吾が演じる主人公がなんとも嫌なヤツなのだ。妻(綾瀬はるか)を信じることができず、昔の恋人(優香)の夫(梶原善)をボロクソにけなすし、カエル星人(西川貴教!)を露骨に差別する。およそ聖なる愚者とは正反対の性格。
他にも計算ちがいはいっぱいあって、かろうじてごひいき秋元才加の豪華なルックスが場を救っている。だから小栗旬と彼女のシークエンスだけは、乾いていながら妙に艶っぽい、つまりは黄金期のアメリカのコメディになり得ていた。
「ステキな金縛り」につづいてキャスティングに失敗しているのも痛い。綾瀬はるかは確かにコメディエンヌとして才能豊かだけれども、こういうドライな設定には向いていない。彼女のダンスは痛々しいくらい。
このタイプのコメディには、むしろ反感を買うぐらいど派手なルックスの女優を選択すべきだった。でも、三谷が選ぶのは深津絵里や綾瀬はるか。これは好みの問題なんでしょうね。仕方ないか。
でも大河「真田丸」は期待してますよ。三谷ファンとして、今回のお話はなかったことにしておきます。