ラ・カンパネラ ~パガニーニによる超絶技巧練習曲集 第3番 / 長富彩
日曜の朝、二人連れの女性が訪れてくる。「読んでくださいね」美麗なパンフレットを置いていく。「ものみの塔」と題されている。
駅前をヘルメットをかぶった白人の若者が自転車で疾走していく。例外なく紺色のスーツを着ている。モルモン教の布教に彼らは熱心だ。
ここ酒田にも幸福の科学、統一教会、立正佼成会、妙智會、創価学会、真光などの会館が豪奢に建っており、よくわからないけれどもそれなりの活動をしているようだ。
いったい人はどんな理由で宗教に走るのだろう。そしてわたしはなぜ新宗教に恐怖をおぼえるのだろう。
きわめつけはオウム真理教だった。これは確かだ。あの事件によってわたしたちの心に新宗教(いまは新興宗教とは呼ばないみたい)への恐怖心が決定的に宿った。
それまでにも、創価学会の折伏やエホバの証人による輸血拒否など、「わからないから怖い」「しつこいから怖い」という事例は数多あった。その恐怖をあの地下鉄サリン事件は象徴している。いまのお若い方など、宗教者が何を思ってか毒ガスを首都の地下鉄でふりまき、死者13人、負傷者6300人もの被害があったことなど信じられないのではないか。
それでも、新宗教はいまでも隆盛を誇っている。それはいったいなぜなのか、一端でも知りたくてこの本を熟読。宗教の本を読んでいるというだけで妻はびびっていましたが。
著者は島田裕巳。オウム真理教を擁護した過去のせいで大学を追われたあの人だ。宗教がらみのときは「朝まで生テレビ」(テレビ朝日)によく出演していた(わたし、麻原彰晃が出演した回も見ています)。
百科という形式をとっていることもあって、とにかく日本の新宗教を(信者数百名のも含めて)網羅してあり、教義の是非には立ち入っていない。もちろん信者が読めば激怒する部分もあるだろうが。以下次号。
本日の一曲は、人間の指はここまで動くという衝撃の例。長富彩の「ラ・カンパネラ」