「またまたまたスペクター」はこちら。
なんか今年、スパイ映画が多くないですか。わたしが見ただけでも「ジョーカー・ゲーム」「ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション」「キングスマン」「007 スペクター」……ほらね。お好きな方にはたまらない一年。わたしはその、お好きな人なのでうれしくてたまらない。
そしてトリがこの「コードネームU.N.C.L.E」。原題はThe Man From U.N.C.L.E。要するにTVシリーズ「0011 ナポレオン・ソロ」のリメイクである。いろんなドラマがリメイクされたのに、よくぞこれが残ってたよなあ。
といってもお若い方々にはなんのことだかわかりませんか。「ナポレオン・ソロ」といえばですね、アンクルという国際機関のエージェントふたりが、世界征服をたくらむスラッシュという悪の組織とたたかうという、まあ007のバッタモンみたいなやつだったんです。
主役のナポレオン・ソロを演じたのはロバート・ヴォーン。相棒のイリヤがデヴィッド・マッカラム。特にマッカラムの人気は日本でも爆発し、スクリーン誌(近代映画社がつぶれちゃったって知ってました?SCREENは継続して発行されるみたいだけれど)の人気俳優ベストテンで常に上位に入ってました。他には「大脱走」ぐらいしかろくな作品がなかったにもかかわらず。だいたい、50年近く前のドラマの脇役にすぎなかったのに、イリヤ・クリヤキンって役名をいまだにわたし、おぼえてますもの。
で、このドラマの魅力は、絶体絶命の危機に陥っても、ソロとイリヤがへらず口を叩いてなんとかなっちゃうあたり。吹替の矢島正明と故・野沢那智さんのかけあいがおかしくておかしくて。彼らのように、女言葉でやりとりするのがオトナっぽくてあこがれてたなあ。
それにくらべて今回の主役ふたりは、ソロが「マン・オブ・スティール」のヘンリー・カヴィルで、イリヤが「ローン・レンジャー」のアーミー・ハマー。明らかにミスキャストなのに、なにしろガイ・リッチーの演出が「スナッチ」以来の絶好調。例によって音楽の使い方も渋いし(オープニングはロバータ・フラッグ)、時制の往復も気持ちいい。ネタバレになるけれど、続篇必至のつくりなんだから、お若い方々も見て興行収入アップに貢献してよ!