その2はこちら。
ありえない設定で青春ドラマの王道をきわめようというのだから、明るく無邪気な主人公にすればいいはずなのにクドカンはそうしない。どうしても暗い影をしのばせてしまうんだなあ。
そのかわりに、このドラマには、いつも以上にギャグがてんこ盛りだ。単位時間あたりのギャグの量はこれまでのどんなドラマをもしのぐ。とにかくキャラがみんな濃いので、自然なやりとりができないくらいだ(笑)。
キャスティングも凝りまくっている。
リアルタイムでこのドラマを見ていた妻は、
「あら、この時点でもう共演してたのね」
とDVDを見ているわたしにつぶやいた。
「?」
「ほら、この人は瑛太の弟でしょう?(永山絢斗)、離婚した満島ひかりとつきあってるって芸能ニュースで言ってたじゃない」
そ、そうだったのか。知らなかった。ということは、平助の恋人役と、むかしの恋仇がくっついちゃったわけなのか。現場はひたすら楽しかったろうから、そういうこともあるかもね。わたしは石井裕也と満島ひかりは映画界におけるベストカップルだと思ってたんだけどな。
わたしがうれしかったのは平助のお父さん役で風間杜夫、ヒロイン姉妹の父親役で平田満が共演していることだ。
つかこうへいの諸作、特に「蒲田行進曲」でみごとなコンビだったこのふたりが、ガールズバー(という名のありふれたスナック)のカウンターでしみじみと飲み交わすシーンは絶品。
その風間杜夫が、新しい恋人(麻生祐未!)の出現に罪悪感を抱きながら、亡き妻のことを述懐する演技はひたすらに泣かせた。「木更津キャッツアイ」で小日向文世が、死にゆく息子(岡田准一)になにを話しかけていいのかわからず、和田アキ子のものまねで
「あのかぁねぇをぉぅ、鳴らすのはぁ、あなーたー」
と絶唱したシーンに匹敵する。以下次号。