30回目の結婚記念日。たいしたこともできないので、せめていっしょに映画館へ。いま鶴岡まちなかキネマでは「おいしい鶴岡 第2回食の映画祭」開催中なので、そのなかからこの作品を。
浅草にある老舗のパン屋のお話。2代目主人のあだ名からこの「ペリカン」という名はついたとか。この店が提供するのは食パンとロールパンだけ。それなのに、なぜみんなに愛されるのか、業界の宝と言われるのはなぜかが語られる。
まず、パンをつくる工程それ自体がむやみに映画的。食パンは型からいきおいよく叩き出され、パン生地を丸める作業はマジックのよう。画面から甘い香りがただよってくる。
英語タイトルは
Pelican:74 Years of Japanese Tradition
日本人による日本人のためのパン。まったく味を変えず、メニューも増やさずにいることの勇気。ペリカンという店だけでなく、浅草という町(旧い日本の象徴)をまるごと描くことに演出の目的はあったようだ。
とっくに亡くなっている二代目主人(美男なのに驚く)が“主演”扱いなのもその意図に沿っているのだろう。
味があったのは名木さんという職人(ルックスは佐藤二朗かモロ師岡)で、二代目に徹底的にしごかれ、パンづくりのむずかしさを思い知りながら、だからこそ面白かったと語るあたり。そうなのだ。パンづくりって、面白そうなんだよね。
上映後、15分の休憩をはさんで監督、ペリカンの四代目(やっぱり美男)、まちキネに隣接するパン屋、地ぱんgoodの大岡店長、内田監督によるトークイベント。ペリカンのロールパンと地ぱんgood名物の塩パン付き。これがもう抱腹絶倒だったのでこれは次回に。