事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「74歳のペリカンはパンを売る。」(2017 オルケスト)

2017-11-23 | 食・レシピ

30回目の結婚記念日。たいしたこともできないので、せめていっしょに映画館へ。いま鶴岡まちなかキネマでは「おいしい鶴岡 第2回食の映画祭」開催中なので、そのなかからこの作品を。

浅草にある老舗のパン屋のお話。2代目主人のあだ名からこの「ペリカン」という名はついたとか。この店が提供するのは食パンとロールパンだけ。それなのに、なぜみんなに愛されるのか、業界の宝と言われるのはなぜかが語られる。

まず、パンをつくる工程それ自体がむやみに映画的。食パンは型からいきおいよく叩き出され、パン生地を丸める作業はマジックのよう。画面から甘い香りがただよってくる。

英語タイトルは

Pelican:74 Years of Japanese Tradition

日本人による日本人のためのパン。まったく味を変えず、メニューも増やさずにいることの勇気。ペリカンという店だけでなく、浅草という町(旧い日本の象徴)をまるごと描くことに演出の目的はあったようだ。

とっくに亡くなっている二代目主人(美男なのに驚く)が“主演”扱いなのもその意図に沿っているのだろう。

味があったのは名木さんという職人(ルックスは佐藤二朗かモロ師岡)で、二代目に徹底的にしごかれ、パンづくりのむずかしさを思い知りながら、だからこそ面白かったと語るあたり。そうなのだ。パンづくりって、面白そうなんだよね。

上映後、15分の休憩をはさんで監督、ペリカンの四代目(やっぱり美男)、まちキネに隣接するパン屋、地ぱんgoodの大岡店長、内田監督によるトークイベント。ペリカンのロールパンと地ぱんgood名物の塩パン付き。これがもう抱腹絶倒だったのでこれは次回に。

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「勁草(けいそう)」 黒川博行著 徳間書店

2017-11-23 | ミステリ

おそらく黒川は、読者を意図的に興奮させまいとしているのだと思う。

刑事たちは、クライマックスに至っても世間話をやめない。まるで実生活のように。そのあたりの味わいこそが、黒川博行らしさというものなんだと思います。

殺人に至る経過も、実際にはこんなヘタレな展開が多いんだろうなとしみじみ。被害者の口座から金をひっぱるのがいかに大変かというのが最大の盛り上がり。

刑事の奥さんは小学校の先生で、若いうちは奥さんのほうが給料が高いけれども、年をとると警察のほうが手当がある分、上になるとか、そこまでリサーチしています。あ、これは黒川の奥さんが先生だったから実感なのかな(笑)。

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「喧嘩(すてごろ)」 黒川博行著 角川書店

2017-11-23 | ミステリ

疫病神シリーズのいまのところ最新作。

前作で文字どおり「破門」されてしまった桑原と、商売が先細りの二宮コンビは相変わらずへらずぐちの応酬で笑わせてくれます。

黒川の作品がリアルだと思うのは、金の部分。二宮の預金残高とか、しのぎの相場とか、ああそうなんだろうなあと読者を納得させる額なの。

よもやこのシリーズが映像化されることはあるまいと思ったら、なんと佐々木蔵之介主演で映画化。ところが、二宮役が関ジャニ∞のあいつですから、ちょっと二の足を踏む。他に誰かいなかったのかなあ。

でまたこの作品には悪ーい学校事務職員が出てくるんですよ。いいぞ!

「泥濘」につづく

コメント (2)
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