黄道光クロスを乗鞍高原で撮影。
宮沢賢治の戯曲「銀河鉄道の夜」に「天の川はよくは知らないが 何でもXという字の形になって しらじらとそらにかかっている・・」という一文がある。一体どんな光景なんだろうか?
この「Xという字の形」は、黄道光と冬の天の川がクロスした様子だと言われている。黄道光(こうどうこう)とは、太陽の通り道である「黄道」に沿って東西に広がる淡い光のこと。黄道付近には彗星からの放出や小惑星同士の衝突で生成された小さな塵がただよっており、それらに太陽光が散乱されて、春は日没後の西の空に、秋は日の出前の東の空に淡い光となって見えるのである。そして秋は、黄道光と冬の天の川がクロスすると言う。
黄道光クロス(または「天の川クロス」とも言う)を撮ろうと思い、夏の天の川撮影のラストチャンスで訪れた乗鞍高原にてチャレンジした。
10月2日は、20時で夏の天の川の撮影を切り上げ、その後車中泊。翌日は午前3時過ぎに起床。気温は7度。駐車場に止めた車の側にカメラをセットし、まずは西方向。夏の天の川は沈み、代わって冬の天の川が乗鞍岳から淡く昇っていた。東に向ければ「オリオン座」の赤い1等星ベテルギウス、その下で一番明るい「おおいぬ座」のシリウス、そしてベテルギウスの左下にある「こいぬ座」の1等星プロキオンが作る「冬の大三角」が輝いていた。
さて、目的の黄道光クロスは見えるのだろうか?日の出は5時44分。東の空には三日月が昇ってきており、その周囲は明るいが、とりあえずシグマのフィッシュアイレンズを向けて撮影してみた。肉眼ではよく分からなかったが、撮影した画像をモニターで見ると、冬の天の川へ淡い光の帯が向かっている様子を確認できた。三日月でもかなり明るいからだろう。天の川とクロスしているまでは捉えることができなかった。
黄道光は、過去に撮影した写真を見直してみると、2012年11月に長野県の美ヶ原高原で薄明の頃に撮った1枚にわずかばかり写っていたので一緒に掲載しておきたい。
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」では、孤独の中で「本当の幸せとは何か」ということを問うている。こうして秋の夜空を一人で眺めていると、若かりし頃の苦い思い出も蘇ってくるが、満天の星による壮大で素晴らしい光景は、私たちは決して孤独ではないこと、そして夢のある未来を予感させる。
コロナとの闘いが一年半続いている昨今、新たに発足した内閣には、雨にも負けず、すべての人々が幸福になる明るい未来へ光の道筋を示し、実現に向けて努力て欲しいと思う。
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