ヒオドシチョウ Nymphalis xanthomelas japonica (Stichel, 1902) は、タテハチョウ科(Family Nymphalidae)タテハチョウ亜科(Subfamily Nymphalinae)タテハチョウ族(Tribe Nymphalini)タテハ属(Genus Nymphalis)のチョウで、北海道から九州に分布し、食樹はエノキで、低地から山地の樹林や雑木林に生息する。鮮やかな赤みのある緋色をしていることが、紅で染められた紐を使った緋縅(ひおどし)の鎧を連想させることから和名がつけられた。
本種は、年1化で5月中旬頃に羽化しそのまま冬を越して翌年の5月頃まで生きる長命なチョウだが、7月頃から翌春までその姿を見ることはほとんどない。詳しい生態は分かっていないが、低地で発生した本種は、発生後、しばらくすると標高の高いところに移動して夏眠・冬眠して降りてくるからだと言われている。同属のエルタテハ Nymphalis vaualbum ([Denis et Schiffermuller], 1775)やキベリタテハ Nymphalis antiopa (Linnaeus, 1758)も同じような生態である。
環境省カテゴリにはないが、都道府県のRDBで千葉県で絶滅危惧Ⅰ類、埼玉県・長崎県で絶滅危惧Ⅱ類、福岡県、鹿児島県では準絶滅危惧種に選定している。
他のチョウでもそうであるが、翅が擦れていない美しい姿を撮るには羽化したばかりの時期しかない。参考に越冬後の写真も掲載したが、長命ゆえに翅はこれほどまでボロボロになってしまう。これもヒオドシチョウの生態写真であり、このチョウの生きざまであるが、筆者の昆虫写真は、生態写真は次の段階で、まずは特徴が分かる図鑑写真が基本。チョウ類では、翅裏と翅表を撮ることが必須であるが、美しい翅表を撮ることは容易ではない。
掲載写真のヒオドシチョウは、脚が4本しか写っていないが、これは欠落しているのではない。タテハチョウ科に見られる特徴で、前脚は極端に小さくなっていて前胸部に折りたたまれているのである。
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ヒオドシチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/200秒 ISO 500(撮影地:山梨県北杜市 2013.06.08)
ヒオドシチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400(撮影地:山梨県甲州市 2018.5.27)
ヒオドシチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 400(撮影地:山梨県甲州市 2018.5.27)
ヒオドシチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400(撮影地:山梨県甲州市 2018.5.27)
ヒオドシチョウ(越冬後)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 200(撮影地:東京都あきる野市 2012.5.12)
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