ルリモンハナバチ Thyreus decorus (Smith, 1852) は、ミツバチ科ルリモンハナバチ属のハチで、 ルリモンハナバチ属は、日本国内では以下の3種に分類されている。
Thyreus属
- Thyreus decorus (Smith, 1852) ナミルリモンハナバチ
- Thyreus centrimacula (Perez, 1905) ウスルリモンハナバチ
- Thyreus takaonis (Cockerell, 1911) タカオルリモンハナバチ
本種は、本州(栃木県が北限)、四国、九州に分布し、8~11月頃に見られる。体長10~13mmで黒色の体に瑠璃色の綺麗な胴体が特徴である。 低地の草原や明るい森林縁部に生息し、メスは、ケブカハナバチ属(Anthophora属)などの巣に産卵し、幼虫はその巣に蓄えられた花粉を食べて育つこと(労働寄生)が知られているが、 生態の詳細は不明である。
ルリモンハナバチは、幸せを呼ぶ青い鳥にちなんで「幸せを運ぶ青い蜂」(ブルービー)としてインターネットを通じて知名度が上がり、昨今、人気があるハチである。しかしながら、環境省RDBでは、情報不足(DD)との位置づけであるものの、生息環境の悪化と減少、宿主であるAnthophora属の減少等が原因で、青森県では、絶滅危惧Ⅰ類(最重要希少野生生物)、群馬県及び京都府では、絶滅危惧Ⅱ類として選定しており、京都府では、見つかるたびに新聞等に取り上げられるほどである。個人のSNSでも「日本では生息数がとても少ない」とか「日本ではなかなか見かけることは出来ない」などと書かれたものが多いが、東京都内西部では花の咲いている草地に行けば、必ず見られるハチである。キツネノマゴで吸蜜する姿を撮ることができた。(同属のウスルリモンハナバチ Thyreus centrimacula (Perez, 1905) は、東京都で絶滅、千葉県では絶滅危惧Ⅰ類に選定している。)本種は、初見ではないが初撮影で当ブログ初掲載の昆虫である。
参考までに、もう一種の青いハチ「オオセイボウ」Stilbum cyanurum pacificum Linsenmaier, 1951 の写真を並べておきたい。セイボウ科に分類されるハチの仲間で、スズバチ(トックリバチの仲間)が作った泥の巣の中に産卵し、スズバチの幼虫と、スズバチが運んでくるイモムシ等を食べて成長すると言われている。個人的にはこのハチの方が幸せを運んできてくれそうな気がする。
用語解説
労働寄生(kleptoparasitism, cleptoparasitism)とは、生物における寄生のあり方の一つを指す言葉である。宿主の体から直接栄養を得るのではなく、宿主が餌として確保したものを餌として得るなど、宿主の労働を搾取する形の行動を取ることを指す。盗み寄生とも言う。
以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。
ルリモンハナバチ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 800 +1/3EV(撮影地:東京都 2016.8.14)
ルリモンハナバチ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 800 +1/3EV(撮影地:東京都 2016.8.14)
ルリモンハナバチ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 800 +1/3EV(撮影地:東京都 2016.8.14)
ルリモンハナバチ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 800 +1/3EV(撮影地:東京都 2016.8.14)
ルリモンハナバチ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 800 +1/3EV(撮影地:東京都 2016.8.14)
オオセイボウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 2000 +2/3EV (撮影地:長野県 2013.07.13)
オオセイボウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 2000 +2/3EV (撮影地:長野県 2013.07.13)
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コメントありがとうございます。
このハチは、きっと多摩NTの住人様のフィールドにもいると思います。
見つけたら、幸せな気分になるかも知れません。
きれいに撮れていますね。
よく動くので撮るのは大変なんですよね。
ルリモンハナバチは大好きなハチで隣の横浜の残されたある緑地で目にしていましたが、2009年を最後に目にすることがなくなりました。
キツネノマゴがきれいに処理されてしまったのが原因のようです。
その後近辺を探し回ってみましたが、遂に会えることはなくなりました。
各地で絶滅危惧種に指定されていますね。
寂しいことであります。
毎年、見ていましたが、今年初めて写真に撮りました。
「以前、見られていたのに、2009年を最後に・・・」
悲しいことですね。
一見、自然環境が良くても、昆虫の種類によっては、
生息条件が色々ですので、一度失うと元に戻せない場合がが多々あります。
何とか、また見合られる環境になって欲しいですね。