トビナナフシは、ナナフシ目(Order Phasmatodea)トビナナフシ科(Family Diapheromeridae)トビナナフシ属(Genus Micadina)で、短い翅をもつナナフシの仲間である。前翅は小さく円形で後翅は腹部中央に達する程度の長さで扇状に広げることができるが、飛翔能力は高くない。日本には以下の3種類が生息している。
- ニホントビナナフシ Micadina phluctainoides (Rehn, 1904) 分布:本州(茨城県以西)、四国、九州、沖縄奄美地方の沿海地から低山帯の雑木林
- ヤスマツトビナナフシ Micadina yasumatsui Shiraki, 1935 分布:北海道、本州、四国、九州の低山帯から山地帯の雑木林
- シラキトビナナフシ Micadina fagi(Ichikawa and Okada, 2008) 分布:北海道、本州、四国のブナ林
ナナフシ科の「ナナフシモドキ」や「エダナナフシ」は、雑木林などでは普通に見られ、先日は、山梨県内の道の駅においてトイレの中で出会ったりしたが、トビナナフシは、探してもなかなか出会う確率は少ない。上記3種ともに環境省版レッドリストに記載はないが、都道府県版レッドリストでは、群馬県などでは絶滅危惧Ⅱ類に、埼玉県、長野県などでは準絶滅危惧種としている。
トビナナフシは、メスの未受精卵から発生する単性生殖をすることで知られており、気温が高い地域ではオスとメスが交尾し産卵するが、緯度が高くなるにつれオスは見られなくなる。関東各地では、稀にオスが見つかる程度である。
これまで様々な昆虫を撮影してきたが、未掲載未発表の写真も多い。今回は、その中からトビナナフシの写真4枚を掲載した。写真1及び2は、複眼の両脇から伸びる黄色い線、そして前胸背板と中胸背板の両側に淡いオレンジ色の線が見られる特徴からニホントビナナフシと分かる。写真3及び4は、それが見られないためヤスマツトビナナフシとしたが、幼虫であるため断定はできない。違っていたら、ご指摘いただきたい。
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