オオルリボシヤンマ Aeshna crenata Hagen, 1856 は、ヤンマ科ルリボシヤンマ属で、北海道、本州、九州に分布し、成虫は6月下旬頃から11月頃まで見られる。周囲に樹木がある抽水植物や浮葉植物が生育する池沼等に生育し、タカネトンボ同様に、標高300mほどの丘陵地から標高1,600mの高地において見ることができる。体長は80mm弱から90mmと大柄で、オスは成熟すると腹部の斑紋が青色となり、メスは腹部の斑紋が緑色と青色(オス型)の2種類のタイプがいる。通常は緑色で青色は変異であるが、その出現率には地域性があるようである。
オオルリボシヤンマは、寒冷地や高標高の池や湿原に生息しているイメージがあるが、東京都内では、丘陵地の池において飛翔と産卵が観察できる。しかしながら、羽化殻がなく、また個体数も少ないことから、その池での発生は不明である。オオルリボシヤンマは、9月以降になると標高の高い生息地から低地にも飛来することが報告されているので、他地域から飛翔してきた可能性が高い。産卵してヤゴが孵化しても、寒冷地や高標高の池等には生息しない魚がいるため、捕食されてしまっているのではないかと考えられる。山梨県との県境の山中に繁殖池も存在するので、その辺りから飛来してきたかも知れないが、マーキンギ調査でもしなければ単なる仮説に過ぎない。
オオルリボシヤンマは、環境省RDBに記載はないが、埼玉県で絶滅危惧Ⅱ類、神奈川県、和歌山県、大阪府、島根県、山口県、大分県、宮崎県で準絶滅危惧種に選定されている。
オオルリボシヤンマは、大きく、しかも青色が目立つので、見かければ必ずカメラを向けたくなるヤンマであり、様々な場所で撮ってきた。これまで1頭のメスに1頭のオスが仲良く寄り添って産卵を見守る様子は見ていたものの、今年は1頭のメスに5頭のオスが絡み合う様子を観察した。(写真はなし。)また、これまで産卵は水面上または水面下の植物組織内に行う様子ばかりであったが、今回は、30頭以上が飛び交う中、あちこちで周囲に何もない泥上にある小さな朽木に産卵する様子を個別ではあるが図鑑的に捉えることができた。
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