自然湖は、長野県木曽郡王滝村の山奥、木曽ひのきにかこまれた王滝川の上流部にある。1984年に起きたM6.8の長野県西部地震の時、御嶽山の一部が崩れて堆積したことでできた天然の湖だと言う。深い渓谷とともに、森が沈んでしまったので立ち枯れの木々が特徴になっている。
私は、昆虫写真と自然風景写真を趣味で撮っている。昆虫写真は、撮りたいと思う昆虫との出会いまでに時間がかかり苦労することが多い。
前記事のギフチョウ/イエローバンドは、出会いに「感動」し、手を震わせ心躍らせながら撮影した。
一方、自然風景は、被写体が「個」ではない。個々が集まって形作った景観である。その景観を撮ろうとした時、「インスタ映え」するかどうかではなく、その景観の美しさや「感動」を写そうとしているが、実際は、単に写真を撮るという技術者であることが多い。
4月の新潟遠征では、有名な景勝地ばかりを巡った。撮影場所が限られるので、いわゆる定番写真ばかりである。構図、露出を考え、シャッター・チャンスを狙って撮るから、その日その時の「美しさ」は伝わるかもしれないが、いずれも単なる「記録写真」である。昆虫であれば「生態写真」として生態学的に貴重な「記録」にもなるだろう。しかし自然風景では「記録」にしか過ぎない。ここに掲載したゴールデンウイーク中に撮影した自然湖や周囲の自然風景も、まだまだ「記録」である。なぜなら、私自身に「感動」が足りないからである。
「感動」とは、大辞林によれば「美しいものやすばらしいことに接して強い印象を受け、心を奪われること。」とある。しかし、ただ美しいものや素晴らしいことに接しただけでは、感動は生まれない。感動というのは、受け取るものではなくて、その対象に対して入り込んで行かなければ生まれない。例えば、ベートーベンの交響曲を演奏したとする。音楽そのものが芸術品である。演奏者は、その曲に対して入り込んで行く。聴衆も、ホールに響く音楽に入り込んで行く。そして感動が生まれる。
自然風景を撮ろうとした時、自然風景に入り込んで一体化する必要がある。その一体化した短い時間に、自然風景はその人だけに、その秘密を解き明かせてみせるのだと思う。
そして自然という芸術と対峙し、自分は一体何を感じ、何を伝えたいのかを明確に認識すること、そしてその抽象的で漠然とした感覚を「写真」というものに具体化することで、感動が表現できる。勿論、写真を見て頂ける方の感覚は千差万別で、撮影者の感じたことが、そのまま伝わるとは限らないが、少しでも何かを感じていただけるように自然と向き合っていきたい。
お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。
自然湖
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/5秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県王滝村 2018.5.04)
自然湖
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/8秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:長野県王滝村 2018.5.04)
しだれ桜
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/10秒 ISO 100(撮影地:長野県木曽町 2018.5.04)
葉桜
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F4.5 1/640秒 ISO 200(撮影地:長野県白馬村 2018.4.29)
里の新緑
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.2 1/1000秒 ISO 200(撮影地:長野県白馬村 2018.5.04)
新緑の白樺
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.2 1/500秒 ISO 200 +2/3EV(撮影地:長野県白馬村 2018.5.04)
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