富嶽とは富士山の異称で、葛飾北斎が富士を描いた浮世絵(富士図版画集)「冨嶽三十六景」「富嶽百景」は有名である。現在では、「絵」はもとより「写真」で富士山を表現する方々がプロ・アマ問わずとても多い。素人の私も、駄作ばかりではあるが、富士山の写真を何枚かは撮っており、本ブログにて「富士10景」や「富嶽十景」という記事でまとめてある。今回は「冨嶽十景 星景編」と題して、富士山と星空を撮ったものばかりを集めてみた。ちなみに星景(星景写真)とは、星空と風景を一緒に撮った写真のことである。星空だけを写した写真は、星野(せいや)写真、星を写した写真は天体写真と呼び区別している。
私は「美しいものを 一番美しい瞬間に 美しく残す」ことを目指して、ホタルをはじめチョウやトンボ等の昆虫、そして自然風景の写真を撮っている。例えば「美しいチョウが、翅の擦れていない羽化したばかりの時期に翅を全開にしている」そういった場面を撮って残そうと思った時、美しく残す作業よりも、美しい種に出会うことに苦労し、一番美しい瞬間に出会う事は更に難しい。
自然風景写真では、「美しいもの」や「一番美しい瞬間」は個人の感性によって異なり、撮った側が作品として提案することもできるが、有名な撮影地における定番と言われる光景を撮るには、季節や天候・時間などのタイミング以上に運を味方に付けなければ叶わないことが多い。「富士山」も有名な撮影地の1つに挙げられる。週末カメラマンが真っ赤な朝焼けや傘雲等とのコラボを撮るには、やはり運が良さが必要だ。以前のブログ記事で書いたが、運と偶然は異質なものだ。宝くじに当選するのは「運」ではなく「偶然」であり、意志の力ではどうにもならない。一方、運は意志の力で引き寄せることが出来る。昔から「運も実力のうち」とよく言う。運の無さや悪さは結果論であり、失敗には何らかの理由がある。学ぶべきことは学び、事前の準備を怠らず、努力と継続が必要である。
富士山と星空は、どちらも美しい。時期と天候、時間というタイミングを見計らって現地に行けば、運の力で「一番美しい瞬間」を捉えることはそれ程難しくはない。(流星を一緒に写すことは、偶然の奇跡である)しかしながら、撮影結果を「美しく残す(表現する)」ことは簡単ではなく、私の今の大きな課題となっている。
星景写真は、星の色再現とノイズとの闘いである。低感度で長時間露光が望ましいが、時間と共に動く星を止めて写すには、赤道儀を使わない星景写真では20秒~30秒の露光時間でなければならない。レンズの開放値によっては、ISO感度を上げる必要があるが、感度を上げればノイズが出てしまう。高感度に強い4Kや8Kの高価な最新のカメラにF1.8の明るい単焦点の超広角レンズを付けて撮影したり、カメラをHKIR改造すれば、より良い表現ができるが、今のところ、所持するカメラとレンズで試行錯誤している。
本記事では、これまでに撮影した中から「富士と星空」をすべて再現像し直して10点を選び、冨嶽十景 星景編として掲載してみた。Dxo pureRAW というソフトでRAWデータを最適化した後、LightroomでRAW現像し、最後は解像度を2倍にする処理を施してjpegで出力した。星景写真を専門に撮られている方々の足元にも及ばない駄作ばかりであるが、今後も「美しいものを 一番美しい瞬間に 美しく残す」ことを目指して挑戦していきたい。
HKIR改造とは
色調整フィルターを取り除くと撮像センサーに入射する光がカットされなくなるため有効感度が上昇し、特に赤く輝く散光星雲などから放たれるスペクトル領域(Hα)付近の感度が大幅にレベルアップするため、比較的短時間の露出でも色彩豊かな美しい写真が撮れるようになる。改造費用は、機種で違うが、およそ33,000円。https://www.hayatacamera.co.jp/astrophotography/
以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。
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