コオイムシ Appasus japonicus (Vuillefroy,1864). は、カメムシ目コオイムシ科に属する水生昆虫で、世界で146種、日本では5種が知られている。体長17から20mm ほどで、扁平な卵のような形をしている。体色は黄褐色や暗褐色で、前脚は鎌のような形の捕獲脚、後脚は遊泳脚になっている。日本全土に分布し、水草などの植物が豊富な小川や池沼、水田、用水路などの浅い水域に生息している。モノアラガイなどの貝類を主食とし、口針を刺して体液を吸う。尚、近縁種である
オオコオイムシ Appasus major (Vuillefroy,1864). は、小魚や他の水生昆虫類を主食としている。
4~7月頃、メスはオスの背中に50~100 個の卵を産みつけ、オスが卵を背負っているように見えることから「子負い虫」という和名が付いている。オスは卵が孵化するまで背に卵を乗せたまま生活を続け、卵に酸素を与える為に定期的に卵を水面よりも上に出すなどしている。
かつてはどこの水田や池にも見られ、私が子供の頃は江戸川区にも生息していたが、現在は環境悪化によって激減しており、環境省RDBには準絶滅危惧種、東京都、神奈川県、埼玉県のRDBには絶滅危惧Ⅰ類に選定されており、その他、多くの自治体のRDBにも絶滅危惧種として記載されている。
神奈川県内の水田には、トンボの撮影で訪れたが、水田のほんの一角に8匹ものコオイムシがいるのを観察した。多くは卵を背負ったオスで、 稲の根元に逆さまに捕まっていたり、浅い部分にじっとしていた。ただ、ちょっと刺激を与えただけで、素早く水中に潜ってしまう。卵を守るためなのだろう、かなり敏感である。一方、メスは稲の葉につかまって日光浴をしていた。
コオイムシは、初撮影の種で当ブログに初掲載である。
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コオイムシ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F9.0 1/320秒 ISO 1250 +2/3V(2016.7.24)
コオイムシ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F9.0 1/250秒 ISO 500 +2/3V(2016.7.24)
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コオイイムシ、神奈川に棲息しているとは驚きです。
良好な環境が保持されている場所なのですね。
コメントありがとうございます。
関東では、ミズカマキリやタイコウウチも
少なくなりましたね。
こうした良好な環境の維持は、地元の方々の努力によって支えられています。
頭が下がる思いです。