一日の最高気温が摂氏25度以上の日を「夏日」、30度以上の日を「真夏日」、35度以上の日を「猛暑日」と言うが、ここ数日は連日の猛暑で、10年に一度の暑さであるという。昼間は、屋外での運動は危険であり、冷房の効いた室内にいたい。しかしながら、こんな暑い日だからこそ虫撮りに出掛けてしまう。目的は、そう、吸い込まれそうなくらい青い眼が美しいマルタンヤンマである。暑い日中はトンボも涼しい木陰の枝に止まっていて撮り放題なのである。2011年に撮影済(参照:マルタンヤンマ)だが、久しぶりに会いたくなった。
目的地までは、自宅から車で40分ほど。午前9時半に到着したが、気温はすでに35℃で容赦なく照り付ける太陽。黒い私の愛車のボンネットで、目玉焼きが作れるに違いない。ポカリスエットを買って、マルタンヤンマの生息域である池のほとりに向かうと、早速、マルタンヤンマのオスが木の枝にぶら下がっていた。いつもなら昼近くになって、ようやく飛んでくるのだが、さすがの猛暑日。朝から木の枝でお休みである。
薄暗い場所であるため、手振れ補正のないレンズとカメラでは三脚が必須。自然光だけでは、深いブルーの複眼が輝かないので、柔らかくストロボ光を当てるが、ブレ防止にレリーズも欠かせない。池のほとりは湿度が高いので、撮影の準備をしながら汗が噴き出る。逃げやしないので、落ち着いて汗をぬぐいながらセットを完了し、撮影開始である。先週の飛び回るホソミモリトンボを撮るのと違って、枝に静止しているのだから撮るのは楽勝。構図はあまり変えることができないので仕方ないが、これでカメラぶれしたりピンボケだったら恥ずかしい。ここは風景写真と同じで、背面のモニターで拡大表示してマニュアルで慎重にピントを合わ、レリーズでシャッターを切った。
最初の個体は、かなり見上げる位置に止まっていたので、移動しながら、もう少し撮影しやすい位置に止まっている個体を探索。すると、今度は、太い木の根元付近にしがみ付いているマルタンヤンマのオスを発見。撮っては見るが、あまり絵にならない。しばらく見ていると飛んで別の場所の枝に止まった。かなり林の奥で構図は限られるが、今度は、背景がうるさくなく良い感じである。メスも1頭だけ、見つけることができた。いずれも老熟個体ではあるが、久しぶりに見たオスのブルーアイズは、言葉にならないほど美しい。
当地では、他にヤブヤンマとネアカヨシヤンマも見ることができるが、もう、マルタンヤンマだけで十分。あまりの暑さに負けて1時間で引き上げることにした。
マルタンヤンマを撮影した翌日も猛暑日。今度は、別の場所へネアカヨシヤンマの産卵を見に行った。こちらも撮影済み(参照:ネアカヨシヤンマの産卵/ネアカヨシヤンマの産卵(2020))だが、もっと良いカットを残しておきたいとの思いで、気合を入れて遠征。
現地には午前10時半に到着。気温は36℃で暑い。こちらは湿地帯で、前日よりもきつい。とりあえず、前回、産卵を撮影した場所にカメラを向けて待機である。11時半と12時半に撮影しているが、いつ飛んでくるかは分からない。エアコンをかけた車で待って居ようものならチャンスを逃すかもしれない。その場で飛んでくるまで我慢大会である。
とは言え、我慢にも限界がある。正午まで待って、飛んでこなければあきらめようと決めた11時45分、大きなヤンマが飛んできた。ネアカヨシヤンマのオスである。メスを探しに来たのだろう。辺りを旋回しながら飛び周る。目で追っていると、藪の中へ消えてしまった。その方へ行って見ると、藪の中から出てきて再び飛び回ったが、しばらくすると藪の入口の木の枝に止まった。しかも目の高さである。やはり、暑さのためだろう。こんなに低い所に止まったのを見た経験は、あまりない。翅がボロボロの老個体であったが、十分に楽しませてもらった。
今度は産卵の撮影である。時間的にも来る頃である。元の場所に戻ると、急に強風が。空を見上げると黒い雲が近づいてきていた。こればやばいと思い、すぐに撤収。車に戻ると、目の前でつむじ風。太い木も折れた。車に乗り込み走らせて数分後にゲリラ豪雨である。気温が一気に10℃下がった。ネアカヨシヤンマの産卵の撮り直しはできなかったが、ゲリラ豪雨がなければ、熱中症で病院行きだったかもしれない。
以下には、今回撮影したマルタンヤンマの写真とネアカヨシヤンマの写真と動画を掲載した。尚、動画に収めた産卵は、2020年に撮影したものを編集し、今回初めて公開した
。以下の掲載写真は、1920×1280ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。また動画は 1920×1080ピクセルのフルハイビジョンで投稿しています。設定をクリックした後、画質から1080p60 HDをお選び頂きフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。
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