今年の4月に28年間勤めた会社を定年退職し、しばらく自由にさせてもらっていたが、この9月から別の会社に就職した。未経験の職種で、今は研修と勉強の毎日である。そのため、今月は下旬まで撮影に出かける精神的余裕がないので、しばらくは過去に撮影した写真をテーマごとにまとめて掲載したいと思う。今回は、好きな風景の1つで、白い幹や樹形に魅了される樺の風景を集めてみた。
樺(カンバ)とは、カバノキ科(Family Betulaceae)の植物の総称である。6属150種ほどの落葉樹からなるが、「樺」という漢字から連想するカバノキ属(Genus Betula)は、日本に約10種があり、高原の木として知られる白樺(シラカンバ)や亜高山帯の岳樺(ダケカンバ)が代表的であろう。
白樺は爽やかな高原のイメージを生むことから「高原の白い貴公子」とも称され、美智子上皇后さまの「御印」でもある。岳樺の幹は、白樺よりも赤茶色に近く、色が濃いのが特徴で、どちらも山火事や山崩れなど森林が破壊された後に真っ先に生えてくることから先駆樹種(パイオニアプランツ)として知られている。寿命は短く、80年と言われている
先駆と言えば、今放送されているNHKの連続テレビ小説「虎に翼」は、日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ一人の女性の実話で、主人公はまさに時代の先駆者と言えるだろう。その「第108話」に「これからは道の開拓ではなく、道の舗装だ」というセリフがある。私のこれまでの人生を振り返ってみても、道の開拓は勿論、舗装をしたこともないが、白樺林の1本となり、自然の眠りを醒ます役割を果たせれば、残りの人生が有意義なものになるかもしれない。
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