散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

真夏の東京(5) 8月25日続き

2007年08月25日 22時15分37秒 | 飲み歩き・東京
美術館巡りは15時半頃力尽きた。三越前から銀座へ。この時間に開いているとなると・・・、銀座7丁目のバー「R」へ行くことにした。この店の名物ハイボールを頼んで、ぐいっと飲む。ちょうど良い冷え加減、レモンピールの香りと申し分のない旨さだ。つい「開いてて良かったなあ」と店の人につぶやくと、「普通に開けてますから」とそっけないお答え。そうか、店主は夏期休暇と書いた紙が貼ってあるな。

ハイボールをお替りし、つまみは軽めに手作りチャーシューを注文。炙りたての味付けも的確なチャーシューに辛子をつけ、付け合せのボイルキャベツと食べる。これも良い。

さあ、渇きが落ち着いたところで、少し何か食べよう。まだ5時前だけど、新橋ならどこか良い立ち飲みが開いているかな・・・、とぶらぶらしてみると店員が全て女性の「T」を発見。立ち飲み本で見た記憶があるので、早速入ってみることにした。

赤ワインと、焼き物は2本づつでということなので(一人客なので1本づつにしてほしい)、ならばおまかせ5本セットにしよう。付け合せのキャベツが先に来た(酸味タレと辛味噌がついている)。随分若い雰囲気の女性が焼き手である(後で聞いたら、焼き方経験は1年位だそうだ)。到着したセットはコブクロ、ハツ、レバ、ガツ(一品失念)で、なかなか良い焼き加減だ。

白ワインとお勧めの煮込みを追加する。ここの煮込みは醤油味だが、「胡椒をかけて下さい」と言われたので、不思議に思いつつまずそのまま食べてみる。肉は色々な部位が入っており、野菜も豊富。そして一番特徴的なのが、スープの味だろうな。何に近いかといえば、ちょっと辛味を効かせた醤油ラーメンの味だ。結構癖になるジャンクテイストで、結局胡椒をかけずに全部食べた。旨かったが、酒が総じて高い印象を受けた。

まだ6時前だが、もう空港へ向かおう。新橋を南下して浜松町へと向かい。「6時前だしなあ」と期待せずにバー「g」の前を通りがかると開いているじゃないか。小躍りして、先客が一人しかいない店内へ。この店には今月のお勧めカクテルがあるのだが、それを見ているうちに注文は決まった。

まずはカルヴァドスベースのフレンチ75(この場合、フレンチ68という名前があるのね。初めて聞いたよ)。フレンチnnシリーズが好きで、かつカルヴァドスが好きという私にはピッタリのカクテルだ。ほの甘い味がしつつ、さっぱりとした仕上がり。

もう一杯は最近あちこちで試しているアクアビットベースのカクテル。マンダリンオレンジのリキュールとわずかにライム。強力なカクテルだが、アクアビットの味がジーンとしみる。

これ以上今の気分にピタリと来る2杯は無いな。いろいろチクチクと心に残った負債を一掃し、機嫌よく空港へ。帰宅したら22時過ぎ。疲れた。

真夏の東京(4) 8月25日

2007年08月25日 16時32分45秒 | ART
さて、自費で宿泊して今日は遊びの日である。7時半にホテルを出発し、荷物を浜松町のコインロッカーに預けてから上野へ。上野駅構内の「S」で朝定食。ご飯、味噌汁、のりの基本セットに鮭、スクランブルエッグ、ミニサラダをつける。久々にちゃんとしたご飯を食べて復活。飲みすぎも問題だが、しっかりした食事をしないことも問題なようだ。

さて、上野の美術館ゾーンに向かおうとした私を、驚くべき事態が襲った。なんと東京芸大美術館が本日休館なのである。「金刀比羅宮 書院の美― 応挙・若冲・岸岱 ―」で若冲の「花丸図」を見ようと思っていたのだが・・・。さらに「自画像の証言」という展覧会も必見だと思っていたのだ。

「8月最後の土曜日に休館する美術館などあるはずがない! こやつは美術館の名前を騙る痴れ者! 切れ切れ、切り捨てい!」と、上様にばったり出くわした悪代官のように錯乱してしまったが、どうすることも出来ない。もう一泊する金はあるが体調があまり良くないので日曜日は完全休養にしたい。

残念ながら諦めて、まずは東京都美術館の「近代美術協会展」へ(只券あり)。一人で複数点の作品が出品されており(100号以上の大作で)、そのバリエーションを楽しめる中々の水準の展覧会だ。

続いて、同じ会場で「現代アーチストセンター展」。いわゆる現代美術の展覧会である。微妙な作品もあったが、色々な美術館のポスターを展示会場の床に並べたのが見ていて面白かった(美術作品として見ていないな)。

次に東京国立博物館へ。まずは本館に入ると、入口すぐ奥で新企画「仏像の道 インドから日本へ」をやっている。インドの濃厚な顔をした仏像が、中国、韓国、最終的に日本に伝来するまでにさっぱりした顔になっていくのだ。

今日の国宝展示は「和歌体十種」「十六羅漢像」「法華経厳王品」「線刻蔵王権現像」「延喜式」「銀銅蛭巻太刀」「刀相州正宗」「太刀長船長光」と言う所か。その他、狩野芳崖の「悲母観音」を綴織に仕上げたものや、「キリシタン-信仰とその証-」展示における「聖母像(親指のマリア)」が興味深いところだ。

それから特別展「京都五山禅の文化」展へ。「禅は素朴だからなあ」と思っていたが、予想通り前半の仏像はまさしく実在の人間そのもの。華麗な造形は望めないのかなと考えていた通りだ。最後の方には表面の模様が細かい十一面観音菩薩坐像、表情が良い聖観音菩薩坐像もあったが、やはり全体に地味だ。

非常に贅沢な文句を言いつつ、上野から目黒に移動。「新日曜美術館」のアートシーンを見て、これは行かなくてはと思った「線の迷宮<ラビリンス>Ⅱ 鉛筆と黒鉛の旋律」である。まずは篠田教夫。ほおづきの外殻の葉脈のような部分が残ったものや、カラス貝とフジツボを精密に描いた作品。次に妻木良三。布地を山のように起伏を持たせて配置したものを描いたものだ。飛行機から見た雲海にも見える不思議作品。

そして私が一番面白いと思ったのは小川信治の作品。フランスやイタリアの観光絵葉書を忠実に鉛筆で再現し、さらにピサの斜塔を二つ描いたりしてしまうシリーズだ。他に「不在シリーズ」とでも言おうか、レオナルドの「最後の晩餐」からユダ、イエス、その他の弟子がそれぞれ描かれていない3部作があった。期待通りの楽しい展覧会で図録を購入。

昼食は駅前のビル内、鮨処「T」でちらし丼。まあまあの味だったが、カウンター内で職人がもう一人の職人をクドクド叱っており、何だか食べた気がしない。

目黒から大手町に移動。三の丸尚蔵館「京焼き多彩なり」へ。目を引かれた作品は、植物と鳥がまるで少女マンガのような華やかさで描かれている「草花文花瓶」。3ミリくらいの蝶が数限りなく描かれている「蝶尽卵形合子」、微妙な紋様を盛り上げ、さらに薄い黄色やピンクの釉薬をかけた繊細な「旭彩山桜花瓶」も良かった。さらに青磁の類も結構名品だったような気がする。

まだ暑い中を徒歩で「三井記念美術館」まで歩く。今回は「旅」と言うテーマで国宝「一遍聖絵」「熊野御幸記」が出品されている。他には印籠に細かい日本地図や、東海道五拾三次が描かれているものや、1783年に書かれながらかなり正確な「地球一覧図」も面白い。地図の両端にグリーンランドが見えるのだが、「地球が丸いためこう描かれた」とメモが記入されているのである。

さて、今日は17時びっちりまで美術館巡りをしようと思っていたが、ガッカリ&暑さに疲れてそろそろ切り上げることにしよう。