広島県議会議員の石橋林太郎という人の公式サイトで紹介されていた作文。平成11年、広島の小学4年生の女の子が学校の授業で書いたその作文のタイトルは「日の丸・君が代」。
「私は、日の丸と君が代が嫌いです。
日の丸の赤は日本軍が殺した人の血の色で、日の丸の白は日本軍が殺した人の骨の色だから、私は日の丸が大嫌いです。
そして君が代は、日本軍にそんなことをするように命令した天皇を称えた歌だから、私は君が代も大嫌いです。」
石橋林太郎はこの作文を書かせた教育を憂えているが、この女の子が作文を書いたのは教育のせいではない。動機はもっと深いところにある。
昭和天皇に戦争責任があることは、世界的に知れ渡っている。岸信介をはじめとするA級戦犯たちが天皇を騙して傀儡としていたという子供だましの解説を信じている人たちが、国旗国歌法案を作った全体主義の議員に投票し、この国の右傾化を支えている。頑張れニッポン、日の丸万歳とスポーツで応援する精神構造は、天皇陛下万歳と言って他国民を虐殺した日本軍と同じ精神構造であることに気づかねばならない。
他人や他国への憎悪は暴力や戦争に直結する。国家主義に走ってしまった歴史を反省し、日の丸や君が代を相対化する努力をしなければ、再度の過ちを犯すことになるだろう。安保法が成立し、共謀罪が施行されたいまの時代は、戦前とそっくりだ。東京オリンピックを応援するマスコミがその傾向に拍車をかけている。親の世代は戦争の悲惨を忘れていても、子供は本能的に危険を察知しているのかもしれない。