映画「神は銃弾」を観た。
キリスト教の教えに従って、平穏に生きてきたし、世の中はキリストが教えた通りに健全に推移してくと信じていた主人公ボブ・ハイタワーにとって、全身にタトゥーを入れるカルト宗教は、理解できない世界であり、その信者は理解できない範疇に属する。
そもそもそんな世界があることは知っていてもあまり考えなかったし、関わりたくもなかった。しかし向こうから関わってきたら、必要な対処をするしかない。ボブの心境はそういったところだろうか。ただ娘の奪還に対する執着は半端ではなく、通常なら受け入れがたいタトゥーの施術も受け入れる。このあたりから、主人公は警官というカテゴリーから自分を解き放っていて、目的のためなら何でもありという無法者に変身する。
ある意味では爽快な変身だが、主人公の正当性を担保するためなのか、カルト側が一方的に絶対悪のように描かれているところと、家族第一主義のアメリカ映画の呪縛から脱しきれていないところがあって、本作品はB級作品に留まっている。その割に長いので、暇なら観ても損はない、という程度の評価にしておく。