三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

映画「不都合な真実2 放置された地球」

2017年11月23日 | 映画・舞台・コンサート

 映画映画「An Inconvenient Sequel: Truth to Power」(邦題「不都合な真実2 放置された地球」)を観た。
 http://futsugou2.jp/

 最初から最後までアル・ゴアの英語の主張が続く映画である。この人の主張は不思議にくどさがなくて、聞きやすい。パリ会議の合意がひとつの目標ではあるが、ゴールではない。
 経済的な豊かさを求める活動は地球の温暖化を加速度的に早める。先進国は温暖化を止めるために化石燃料の使用をやめ、原子力の使用をやめる傾向にあるが、途上国は先進国の段階になるまでは自由にしたいという。そうでないと不公平だという主張である。
 いま生きている人の幸福は必ずしも将来の人々の幸福に一致するとは限らない。まともな地球を未来に残すことを、アル・ゴアは全世界に訴える。主張は批判され、否定され、ときには物をぶつけられる。気象の問題を主張するのは必ずしもすべての人々の賛同を得られる訳ではないのだ。
 世界は南北問題、人種差別、国内での格差など、資本主義の行き詰まりに伴う問題が顕在化している。ひとつを解決しようとすると他の問題を増長させることになったりする。ドナルド・トランプが抵抗勢力の象徴みたいな設定で登場するのは、ある意味、すべての問題を集約している。
 何も打つ手がないように見えるが、それでもできることはあると、アル・ゴアは言う。根拠のない希望は語らない。未来は必ずやってくる。いい未来とは限らない。悪い未来かもしれない。現在の我々は、未来に禍根を残さないためにあらゆる努力をすべきだと、彼は主張する。
 目の前の利益にしか興味のない現在の人々に、彼の主張は響くのだろうか。


舞台「24番地の桜の園」

2017年11月23日 | 映画・舞台・コンサート

 Bunkamuraシアターコクーンで舞台「桜の園」を見た。風間杜夫、小林聡美、八嶋智人などの達者な俳優たちが、廃れてしまうさくらんぼ農場を舞台に繰り広げる群像劇である。
 ほぼチェーホフの原作通りだが、脇役たちの人生にもスポットを当てることで芝居に奥行きと深みを出している。なかなか見事な演出だ。
 台詞も物語もわかりやすくて、長時間だがとても楽しめる舞台だった。