映画「ストップモーション」を観た。
ホラー作品と捉えれば、それなりに楽しめると思う。曰く不条理。主人公を取り巻く人物は、不可解な少女、底の浅い男女など、芸術性からはほど遠いと思われる人間ばかりだが、そこにストップモーション作品が関わると、途端に不気味な関係性に変化する。
人形は怖いものだ。ことに人間を模した人形は、人間の実存が乗り移ったかのようで、自発的な行動を想像させる。つまり魂が入ってしまうのだ。それを利用して、墓に一緒に埋葬して死後の世界を賑やかにするという祭祀があるし、人形を使う呪術も多い。
死は身近だが、最も遠い体験である。死を体験した人の話を聞くことも、本を読むこともできない。あくまで介在的な体験として、認識するだけだ。人は死を恐れ、死後の世界を想像する。死がなければ、ホラー作品は成立しない。
本作はストップモーションの製作を通じて、死がどのように人間を迎えるのかをおどろおどろしく描く。ジャンプスケアでびっくりさせる作品ではないが、怖さがじわじわと忍び込んでくる感じだ。味わいのある作品だと思う。