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群馬の関越道でバス事故、乗客7人死亡

2012-04-29 10:23:51 | Weblog
群馬の関越道でバス事故、乗客7人死亡 2012年4月29日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120429-OYT1T00111.htm?from=top
 29日午前4時40分頃、群馬県藤岡市岡之郷の関越道上り線藤岡ジャンクション(JCT)付近で、高速バスが道路左側の防音壁にぶつかり大破した。
 群馬県警や高崎市等広域消防局によると、乗客45人のうち7人が死亡、13人が重傷、25人が軽傷。
 バスを運行する針生エクスプレス(千葉県印西市)によると、バスは定員53人で45人の乗客を乗せて28日午後10時頃に金沢市を出発し、千葉県の東京ディズニーランドに向かっていた。
 県警は自動車運転過失傷害の疑いがあるとみてバスの男性運転手(46)から事情を聞いている。
 事故の影響で、関越道新潟線上り線の高崎―本庄児玉両インターチェンジ(IC)間と、北関東自動車道(西行き)の前橋南IC―高崎JCT間が通行止めになっている。

参照記事 バス事故 過重労働にあえぐ運転手 規制緩和のひずみ 2007年02月24日 毎日(元記事リンク切れ)
 大阪府吹田市の府道で、スキー客を乗せた「あずみ野観光バス」(長野県松川村)の大型観光バスがコンクリート柱に激突し、27人が死傷した事故から、25日で1週間。事故はバスの小池勇輝運転手(21)=入院中=の居眠り運転が原因で、亡くなった弟の雅史さん(16)は人員不足のため急きょ誘導員として乗務していた。家族経営の小規模業者。過重労働にあえぐ夜行バスの運転手たち。その際どい実態には、00年の貸しバス事業の規制緩和によるひずみが凝縮されていた。
 ■昼夜逆転、疲労蓄積
 居眠り運転した小池運転手は約半年前に大型2種免許を取得したばかり。府警の事情聴取に「長野と大阪間の運転が連日続き、疲労していた」と話した。石川県のバス会社に勤務する運転歴32年の藤岡幸夫さん(59)は、事故前日の17日夜、長野のドライブインで小池運転手を見た。「若い運転手だなあ」と心配しただけに、翌朝の事故には複雑な気持ちだった。
 夜行バスの運転手は昼夜逆転生活だ。小池運転手の睡眠時間は5時間ぐらいだったという。藤岡さんは「大手のバス会社は1往復すると翌日は休みにしている。連続運転も2往復が限界。何日も続けるのは事故のもと」と言う。だが、現実は「激務がつらくて辞める運転手がいても、景気が悪いから運転手を募集したらすぐに集まる。代わりはいくらでもいるという感覚で、運転手は人間じゃなくナットやタイヤと同じバスの部品のように扱われている」と憤った。
 ■規制緩和の陰で
 国土交通省によると、貸し切りバス事業者は99年度は2336業者だったのが、翌年の規制緩和で免許制から許可制になり、04年度は3743業者に増えた。その約7割がバス10台以下の小規模事業者。事業者増加で競争が激化し、運賃はピーク時の半額に下落。業者は「働いてももうからない」状態にある。
 長野県のバス会社に勤務する50代の運転手は「運賃は95年ごろがピーク。今はバス1台につき、長野と大阪の往復で20万円以下。運転手の年収は400万円を切っている人が多い」と話す。事故を起こした「あずみ野観光バス」から今月、仕事を下請けした同県内のバス会社は「白馬と大阪往復を16万円で請け負った。燃料費と人件費を引いたら、2万円も残らなかった。今のバス料金はおかしい。夜間に雪道を走る悪条件の運行なのに、安すぎて割に合わない」と明かした。
 ■便利で楽だが
 JR新大阪駅前のスキーバスツアーの集合場所。金曜の夜は大勢のスキー客でにぎわう。これから乗務する運転手らは「眠くなると中央分離帯が人間に見えたりする」「眠気覚ましのタバコも吸えず、コーヒーでも客から『飲みながら運転している』とクレームがつく」と窮状を訴えた。
 大阪府警交通捜査課は、小池運転手は道路交通法で禁じられた「過休労運転」の可能性もあると捜査を進めており、同社が運転手に国の基準の労働時間を超えて運転させていたのかどうか、昨年末からの勤務状態などを調べる。運転手の体調など医学的な面からも「過労運転」と認められれば、同社を道交法違反などで書類送検する方針だ。
 しかし、ある捜査員は「悪質な経営というより、家族経営の零細企業が追い詰められ、むちゃをしたという印象だ」とつぶやいた。
 ■国の監査追いつかず
 規制緩和には「事後チェック」の強化が不可欠だが、増える一方の貸し切りバス事業者への国の監査は追いついていないのが現状だ。「あずみ野観光バス」についても、00年の設立以来、長野労働局の通報に基づいて今月5日に監査に入るまで一度も監査は行われなかった。
 国土交通省の担当者は「特に零細業者への監査をどうすれば良いのかという問題意識は持っている」と話す。昨年2月には、新規事業者の参入ラッシュに対応するため、設立許可後、半年をめどに監査に入ることや5年程度監査を受けていない事業者には優先的に入るよう方針を転換。02年7月に108人だった全国の監査人員は、今年1月の増員で166人に増えた。それでも、貸し切りバス事業者に監査に入る平均頻度は、5・3年に1回だけだ。
 冬柴鉄三国交相は、「規制緩和の中で今回の事故が起きたのは大きなマイナスがあった。規制緩和は安全・安心という点で行き過ぎがあるのではという声があるのは事実」と認めたうえで、「監査を強化するとともに業界団体を通じて(安全に不備がないか)指導していきたい」と強調している。
 ◆安くて便利だが
 JR東京駅の高速バス乗り場。週末を利用し、夫婦で静岡県に旅行に行くという東京都北区の男性会社員(59)は、メリットに運賃が電車より安いことを挙げたが、「規制緩和で危険が増していると聞くと、やはり不安はある」と言ってバスに乗り込んだ。これから徳島県に帰るという女性(61)は、深夜の高速バスに乗り大阪経由で上京した。千葉県に住む次男との東京観光が目的で、「新幹線と違い、高速バスなら朝早く到着でき、息子も休日をうまく使える」と説明。上京に使ったバスには運転手が2人おり、途中で休憩も取っていたといい、「(大手会社は)態勢が整っていて安心できる」と話した。





 午前4時40分と言えば、大半の方がまだ眠りについている無防備な時間帯で、そのことが被害を更に拡大する大惨事につながってしまったのだと思いますが、私も(座席では眠れない性格なので夜行バスこそ使わないものの)急がないプライベートな旅行では長距離高速バスをよく利用するだけに、こういったバス事故は決して他人事には思えませんし、多少利用料金が高くなったり、あるいは到着までの時間が遅れるようなことがあっても一向に構わない(高速バスを使う以上は、事故渋滞に巻き込まれれば1時間や2時間の遅れは出るものと覚悟する位の度量が必要です)から、運転手の方には十分な休憩や交代要員を用意するなど安全最優先で運行して欲しいと思うと共に、不幸にして巻き込まれた方、そしてお亡くなりになられた方に対しては、心からお気の毒に思います。

 どうもこの事故を引き起こしたバス会社。JRバスや私鉄系バス会社が(JR特急料金の半額程度の値段で)運行している従来型の高速バス会社ではなく、規制緩和後に新規参入してきた料金の安さをウリにするツアーバス型の会社のようですが、こういう料金の安さは人件費を削って運転手に過重労働を強いて生み出しているケースもあり、こういった悲惨な事故も過去の教訓が世間から忘れ去られた頃に繰り返すことが決して少なくないだけに、利用する事業者は価格の安さだけで決めるのではなく、やはり安全性を最優先に慎重に選んだ方が無難そうです。