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厚生年金、受給先延ばしで増額・厚労省検討

2006-10-07 00:43:44 | Weblog
厚生年金、受給先延ばしで増額・厚労省検討 2006年10月04日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20061004AT3S0301803102006.html
 厚生労働省は2007年4月から、厚生年金の受け取りを本来の65歳から66歳以降に遅らせた場合、遅らせた期間に応じて8.4―42%を受取額に上乗せする方向で検討に入った。会社員らが加入する厚生年金には、働いている間は年金を減額する制度があり、満額で受け取るために仕事を辞める高齢者も多い。新制度の導入で高齢者の就労を促し、少子化による労働力不足に対応する。
 増額率は66歳ちょうどになった月から受け取る場合の8.4%が最低。申請して、受け取りを1カ月遅らせるごとに0.7ポイントずつ増える。最も期間が長くなるのは70歳ちょうどから受け取る場合。69歳までは給与のみで生活し、70歳から引退して年金を受け取ると、増額率は42%。65歳時に受け取れた厚生年金が月3万円とすると、70歳時に受け取る年金額に加え、増額された1万2600円が上乗せされて支給される。


 いろんな意味で???な施策です。国民年金にはもともと老齢基礎年金の繰上げ・繰り下げ制度があり、昭和16年4月2日以降生まれの人に対しては、本来の支給年齢の65歳時点での支給額を100とすると、60歳なら70%、61歳なら76%、62歳なら82%、63歳なら88%、64歳なら94%の水準を一生涯受け取ることを条件に繰り上げ受給できる制度(月単位で0.5%アップ)があり、それと対を成す形で、繰り下げ制度(66歳以降に受け取る場合は108.4%、67歳なら116.8%、68歳なら125.2%、69歳なら133.6%、70歳なら142%(同月単位で0.7%アップ)がありますが、これは支給調整規定のない国民年金制度の話であり、体が弱くて働けない等の理由で繰り上げ支給を選ぶ人は多くても、繰り下げ制度は一応そういう制度も用意したよといったところ。
 一方厚生年金には繰り上げ制度のみです。

 仮に導入するとしても、確かに在職老齢年金の一部(全部)支給停止分がなくなる分、就労促進効果は見込めるかと思いますが、よくよく考えて見ると65歳を過ぎて厚生年金が適用されるような働き方が出来る方自体少数派(管理職として残る方が大半かと思います)で、もともと高給取りだった方の老後をさらに優遇することになりかねませんし、年金を支給するお国の立場から見れば、財源そのものが厳しくなっている厚生年金の財源をさらに悪化させることは得策とは思えません。

 もし65歳以降の就労促進効果を期待するのなら、むしろ労働契約を見直すとか(顧問契約=自営業扱い=在職老齢年金による支給調整はない) 賞与は出来高に応じて支給するとか、他にもいろいろな方法があると思いますし、マクロ経済スライドが導入され、自分が年をとったときにいくらもらえるか、それでなくてもピリピリしている大多数の国民をさらにいら立たせる制度を導入するのはどうかと思うのですが…。


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