橋下「貸金特区」構想に黄信号 「被害を拡大」強まる逆風 2010年8月15日 産経
http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/100815/sty1008150125000-n1.htm
大阪府が7月に政府に提案した改正貸金業法の規制を一部緩和する貸金特区構想の実現に「黄信号」が灯っている。橋下徹知事は「肝は債務者を救うこと」と訴えるが、政府の一次回答は、意見聴取の必要性を理由に、通常の手続きからすると異例の「判断保留」とされた。担当大臣が否定的見解を示し、日本弁護士連合会(日弁連)や多重債務者の支援団体なども相次いで反対声明を出すなど、府にとっては四面楚歌(しめんそか)ともいえる状況の中で政府の判断を待つ。
6月に完全施行された改正貸金業法では、個人の無担保借り入れの総額を年収の3分の1以下に制限する総量規制を導入。貸し出しの金利の上限も年29・2%から年20%に引き下げられた。
府の構想では、1年以内の貸し付けと20万円以下の少額に限って上限金利を改正前の29・2%とし、総量規制についても返済能力があると認められた場合は条件を緩和する。融資を受けられなくなった中小企業や個人がヤミ金融など違法な業者に流れるのを防ぐねらいがある。
特区提案にあたり、橋下知事は「今は小口で借りたい人にも貸せないようになっている。金利は市場にゆだねるべきだ」と強調。また、「弁護士のもうけを債務者の生活再建にあてる」として、行政が債務整理の機関を独自に設ける考えも明らかにした。
しかし、府の提案に対して自見庄三郎金融担当相は「法改正の趣旨を損なう。地域によって刑罰が異なることにもなり、法の公正性に反する」と難色を示す。
さらに、橋下知事に名指しで批判された日弁連も「全国的に高金利・過剰融資が蔓延(まんえん)しかねない危険性があり、多重債務問題を深刻化させる」と激しく反発。多重債務者の支援団体も「被害を拡大させる」と撤回を求めた。
府構想への風当たりが予想以上に厳しい中、政府は今月2日、府から意見を聴取した上で判断すると回答し、事実上の保留とされた。他の特区提案については5段階評価で回答したことを考えれば極めて異例ともいえる対応だ。
金融庁の担当者は「大阪だけに法の抜け道をつくっていいのかという議論があり、直接のやりとりが必要と判断した」と理由を説明。府の担当者も「構想の実現に向けて粘り強くやっていくだけだ」と話す。
今後、政府の最終回答を出す9月末まで、両者の事務担当レベルで協議を続けることになるが、「閣僚とのパイプが強い知事に配慮して、『一発ノー回答』ができなかっただけでは」と指摘する府職員もおり、“身内”からも特区実現には懐疑的な声があがっている。
ん…。これも沖縄や長崎の五島列島といった本土と物理的に離れたところで電気自動車の普及実験を行うのとは大きく次元の異なる問題ですし、現実問題として、これまで大阪に拠点がなかった消費者金融会社が形式的に1店舗だけ大阪に支点を作って(あるいは既に大阪にある支店を本社扱いにして)規制の網をくぐり抜ける可能性だって否定できないでしょうし、想定利用者も大阪に住民票がある方だけでなく大阪に通勤している京都や奈良、兵庫の方も利用者に想定しているのだとは思いますが、極端な話、遠方から数日だけ大阪に来て(大阪の職場に就職したことにして)お金を借りてすぐに元の場所に戻るといった貧困ビジネスを新たに生み出しかねないだけに、私もこの貸金特区構想にはあまり賛成できないんですよね…。
なんのために国が規制を強化したのかを忘れてもらっては困りますし、特区というのは利用者に恩恵があってこその特区。どうしても行うというのならば、悪徳な業者に制度を悪用されないための仕組み作りが必須かと思います。
http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/100815/sty1008150125000-n1.htm
大阪府が7月に政府に提案した改正貸金業法の規制を一部緩和する貸金特区構想の実現に「黄信号」が灯っている。橋下徹知事は「肝は債務者を救うこと」と訴えるが、政府の一次回答は、意見聴取の必要性を理由に、通常の手続きからすると異例の「判断保留」とされた。担当大臣が否定的見解を示し、日本弁護士連合会(日弁連)や多重債務者の支援団体なども相次いで反対声明を出すなど、府にとっては四面楚歌(しめんそか)ともいえる状況の中で政府の判断を待つ。
6月に完全施行された改正貸金業法では、個人の無担保借り入れの総額を年収の3分の1以下に制限する総量規制を導入。貸し出しの金利の上限も年29・2%から年20%に引き下げられた。
府の構想では、1年以内の貸し付けと20万円以下の少額に限って上限金利を改正前の29・2%とし、総量規制についても返済能力があると認められた場合は条件を緩和する。融資を受けられなくなった中小企業や個人がヤミ金融など違法な業者に流れるのを防ぐねらいがある。
特区提案にあたり、橋下知事は「今は小口で借りたい人にも貸せないようになっている。金利は市場にゆだねるべきだ」と強調。また、「弁護士のもうけを債務者の生活再建にあてる」として、行政が債務整理の機関を独自に設ける考えも明らかにした。
しかし、府の提案に対して自見庄三郎金融担当相は「法改正の趣旨を損なう。地域によって刑罰が異なることにもなり、法の公正性に反する」と難色を示す。
さらに、橋下知事に名指しで批判された日弁連も「全国的に高金利・過剰融資が蔓延(まんえん)しかねない危険性があり、多重債務問題を深刻化させる」と激しく反発。多重債務者の支援団体も「被害を拡大させる」と撤回を求めた。
府構想への風当たりが予想以上に厳しい中、政府は今月2日、府から意見を聴取した上で判断すると回答し、事実上の保留とされた。他の特区提案については5段階評価で回答したことを考えれば極めて異例ともいえる対応だ。
金融庁の担当者は「大阪だけに法の抜け道をつくっていいのかという議論があり、直接のやりとりが必要と判断した」と理由を説明。府の担当者も「構想の実現に向けて粘り強くやっていくだけだ」と話す。
今後、政府の最終回答を出す9月末まで、両者の事務担当レベルで協議を続けることになるが、「閣僚とのパイプが強い知事に配慮して、『一発ノー回答』ができなかっただけでは」と指摘する府職員もおり、“身内”からも特区実現には懐疑的な声があがっている。
ん…。これも沖縄や長崎の五島列島といった本土と物理的に離れたところで電気自動車の普及実験を行うのとは大きく次元の異なる問題ですし、現実問題として、これまで大阪に拠点がなかった消費者金融会社が形式的に1店舗だけ大阪に支点を作って(あるいは既に大阪にある支店を本社扱いにして)規制の網をくぐり抜ける可能性だって否定できないでしょうし、想定利用者も大阪に住民票がある方だけでなく大阪に通勤している京都や奈良、兵庫の方も利用者に想定しているのだとは思いますが、極端な話、遠方から数日だけ大阪に来て(大阪の職場に就職したことにして)お金を借りてすぐに元の場所に戻るといった貧困ビジネスを新たに生み出しかねないだけに、私もこの貸金特区構想にはあまり賛成できないんですよね…。
なんのために国が規制を強化したのかを忘れてもらっては困りますし、特区というのは利用者に恩恵があってこその特区。どうしても行うというのならば、悪徳な業者に制度を悪用されないための仕組み作りが必須かと思います。
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