「自転車は車道」迷走…真意は「歩道暴走ダメ」 2011年11月21日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111121-OYT1T00219.htm
警察庁が先月25日に公表した「自転車総合対策」が波紋を呼んでいる。
車道走行の徹底を打ち出したことに対し、交通量の多い車道を走ることへの恐怖を訴えたり、摘発強化を心配したりする声は多い。同庁は「これまでの原則を徹底しただけ」と釈明するが、その真意が伝わっていないようだ。
◆歩行者と衝突増加
「子供を乗せて車の脇を走るのは怖い」「専用レーンを整備してから車道を走らせるべきだ」――。
車道走行徹底の方針が明らかになってからの1週間で、各地の警察だけでなく警察庁にも100件以上の電話やメールが寄せられた。自転車、歩行者、車など立場ごとに賛否は分かれ、「以前からあったルールなのですが……」と同庁交通局幹部は戸惑いを隠さない。
確かに、リヤカーなどと同じ軽車両である自転車の車道走行は1960年に制定された道路交通法の大原則だ。ただ、「第1次交通戦争」と呼ばれ、交通事故死者が過去最悪の1万6765人になった70年、車道の交通量が多い一部の歩道で、自転車走行を可能とするよう同法が改正されたのを機に状況は変わっていく。
改正の効果もあり、同年に1940人だった自転車運転中の死者は、5年後には約35%減の1254人にまで減少。2007年には「13歳未満と70歳以上、身体障害者」に限定する一方、駐車車両や工事などのやむを得ない場合には歩道走行が出来るとし、昨年の死者は658人にまで減った。
しかし、歩道走行が浸透する一方、歩行者との衝突事故は増加。昨年は10年前の約1・5倍の2760件に上り、死亡事故も起きている。警察当局は数年前から安全運転啓発キャンペーンをしているが、思うような効果は上がっていない。
◆マナー向上が狙い
「暴走運転は改善されないまま、『自転車は歩道』との意識だけが浸透してしまった」。交通行政に詳しい警察幹部は唇をかむ。
ただ、「車道通行は危険」との声は多く、現場の警察官が、規定以外の自転車の歩道走行を積極的に取り締まらなかったのも事実だ。
こうした現状に危機感を抱く警察庁が改めて車道走行の徹底を打ち出した狙いは自転車マナーの向上だ。特に問題視しているのは、歩道上での猛スピードや逆走、信号無視で歩道と車道を縫うように走る危険な自転車。交通切符(赤切符)を切る厳しい取り締まりは、こうした自転車を対象にする予定で、歩道から自転車をすべて降ろす「大転換」を意図したわけではなかったが、説明不足から市民にも不安感が広がった。
◆難しい環境整備
では、一体どんな指導・取り締まりをするのか――。
東日本大震災後、自転車利用者が増加している都内では、警視庁が通勤時間帯などに街頭に警察官を配置し、口頭で自転車に車道走行を促す。歩道を高速で走行する危険な自転車には「警告カード」を渡し、再度違反を認めたら交通切符を切る可能性があることを説明する。
同庁幹部は「ゆっくりと走る自転車や子供を乗せた主婦などは、これまで通り取り締まらない」と強調。自転車通勤者の多い企業や学校での出張講習で、交通マナーだけでなく、安全走行ルートの提案もする。
一過性のキャンペーンに終わらぬよう自転車道の整備促進の方針も同時に打ち出した警察庁だが、08年から整備を促進させた自転車専用道や通行帯は、昨年3月段階で全道路の0・13%に過ぎない。店先が駐車禁止になることを嫌う商店主などからの反発もあり、道路管理者の国土交通省や自治体との協議も長期化する傾向で、根本的な打開策は見つかっていない。
自転車、徐行なら歩道OK…警察庁局長の見解 2011年11月21日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111121-OYT1T00227.htm
自転車の総合対策について、警察庁の石井隆之・交通局長がインタビューに応じ、「自転車は『車』との意識を持ってもらうことが目的で、スピードを出す人以外は従来通り、歩道走行で構わない」と強調した。
――なぜ今、自転車対策なのか。
「二酸化炭素の削減や東日本大震災での交通混乱を機に注目を集める一方、歩行者に注意を払わず死亡事故を起こすケースも多くなっている。高齢の歩行者も増える今、あえて強い対策を打ち出した」
――誰でも車道走行しなくてはいけないのか。
「高齢者や子供を乗せた保護者、前かごに荷物を積んだ人などは歩道で良い。ただ、いずれも徐行が原則で、スピードを楽しむ人は車道に降りてもらう」
――どんな自転車が摘発されるのか。
「ブレーキの付いていないピストバイクや、信号無視、指導警告を繰り返しても危険運転するような事故に直結するケースに限る」
――車道での自転車事故が増えるのではないか。
「事故統計上は即座に車道通行が危険とは言えない。ただ、違法駐車を避けて道路中央に寄るのが危険なので、駐停車取り締まりは強化する。また、ドライバーへの指導にも努めたい」
――国民への説明に不十分な点はなかったか。
「多く寄せられた疑問に対する警察庁の考え方をQ&A方式でホームページに掲載した。都道府県警にも街頭指導などで丁寧に説明するよう指示している」
――自転車の走行環境の整備は進むのか。
「自転車の役割や使用頻度は地域によって違う。今後の街づくりにどう生かすか、警察だけでなく近隣住民や道路管理者らとじっくりと話し合った上で長期的に整備を進めたい」
う~ん。そもそも自転車をリヤカーと同一次元で扱う方にも問題があると思いますし、私個人の主観とすれば、成人歩行者の2~3倍の移動スピードでかつブレーキをかければ50センチ位で止まることができる時速10キロちょっとのスピードならば、歩行者に十分注意した上で歩道を走って貰った方がむしろ交通事故は減らせるのでは??? と思うのですが、東京や大阪のオフィス街では、自転車便と呼ばれる車道を高速で移動するメッセンジャーを業としている人も現に存在します(現に私も10年ほど前ですが、大阪のオフィス街で横断歩道が青になったのを確認の上渡ろうとした瞬間 危うく追突されかけてひやっとした経験があります)し、自転車に衝突されたことが原因で半身不随になったり死亡した方本人やその遺族の方から巨額の損害賠償請求を引き起こされ、実際に巨額の賠償金支払い判決も出るなど(民間保険の加入の可否まで議論される程に)社会問題になっているだけに、ある程度の規制強化(警察側から見れば再徹底)も致し方ないのでしょうが、一利用者目線からみれば、ごくごく一部のマナーの悪い方のために、こちらまで巻き添えを食らう形で 車道を走るリスクを課せられることには、どうも納得がいかないものがありますね…(困惑
車を運転する方の中には、車道をゆっくり走っている他の車やバイク・自転車をクラクション等で煽ったりする輩もいますし、一個人としてはそういったマナーのなっていないドライバーこそ率先して取り締まってほしいとさえ思いますが、警察の側も「ゆっくりと走る自転車や子供を乗せた主婦などは、これまで通り取り締まらない」とは強調しているものの、これでは取締基準もわかりませんし、例えば自転車にも速度違反を設けるなり、もう少し客観的でわかりやすい(恣意的な運用にならないような)指標を設けることが必要なのではないかな…と思います。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111121-OYT1T00219.htm
警察庁が先月25日に公表した「自転車総合対策」が波紋を呼んでいる。
車道走行の徹底を打ち出したことに対し、交通量の多い車道を走ることへの恐怖を訴えたり、摘発強化を心配したりする声は多い。同庁は「これまでの原則を徹底しただけ」と釈明するが、その真意が伝わっていないようだ。
◆歩行者と衝突増加
「子供を乗せて車の脇を走るのは怖い」「専用レーンを整備してから車道を走らせるべきだ」――。
車道走行徹底の方針が明らかになってからの1週間で、各地の警察だけでなく警察庁にも100件以上の電話やメールが寄せられた。自転車、歩行者、車など立場ごとに賛否は分かれ、「以前からあったルールなのですが……」と同庁交通局幹部は戸惑いを隠さない。
確かに、リヤカーなどと同じ軽車両である自転車の車道走行は1960年に制定された道路交通法の大原則だ。ただ、「第1次交通戦争」と呼ばれ、交通事故死者が過去最悪の1万6765人になった70年、車道の交通量が多い一部の歩道で、自転車走行を可能とするよう同法が改正されたのを機に状況は変わっていく。
改正の効果もあり、同年に1940人だった自転車運転中の死者は、5年後には約35%減の1254人にまで減少。2007年には「13歳未満と70歳以上、身体障害者」に限定する一方、駐車車両や工事などのやむを得ない場合には歩道走行が出来るとし、昨年の死者は658人にまで減った。
しかし、歩道走行が浸透する一方、歩行者との衝突事故は増加。昨年は10年前の約1・5倍の2760件に上り、死亡事故も起きている。警察当局は数年前から安全運転啓発キャンペーンをしているが、思うような効果は上がっていない。
◆マナー向上が狙い
「暴走運転は改善されないまま、『自転車は歩道』との意識だけが浸透してしまった」。交通行政に詳しい警察幹部は唇をかむ。
ただ、「車道通行は危険」との声は多く、現場の警察官が、規定以外の自転車の歩道走行を積極的に取り締まらなかったのも事実だ。
こうした現状に危機感を抱く警察庁が改めて車道走行の徹底を打ち出した狙いは自転車マナーの向上だ。特に問題視しているのは、歩道上での猛スピードや逆走、信号無視で歩道と車道を縫うように走る危険な自転車。交通切符(赤切符)を切る厳しい取り締まりは、こうした自転車を対象にする予定で、歩道から自転車をすべて降ろす「大転換」を意図したわけではなかったが、説明不足から市民にも不安感が広がった。
◆難しい環境整備
では、一体どんな指導・取り締まりをするのか――。
東日本大震災後、自転車利用者が増加している都内では、警視庁が通勤時間帯などに街頭に警察官を配置し、口頭で自転車に車道走行を促す。歩道を高速で走行する危険な自転車には「警告カード」を渡し、再度違反を認めたら交通切符を切る可能性があることを説明する。
同庁幹部は「ゆっくりと走る自転車や子供を乗せた主婦などは、これまで通り取り締まらない」と強調。自転車通勤者の多い企業や学校での出張講習で、交通マナーだけでなく、安全走行ルートの提案もする。
一過性のキャンペーンに終わらぬよう自転車道の整備促進の方針も同時に打ち出した警察庁だが、08年から整備を促進させた自転車専用道や通行帯は、昨年3月段階で全道路の0・13%に過ぎない。店先が駐車禁止になることを嫌う商店主などからの反発もあり、道路管理者の国土交通省や自治体との協議も長期化する傾向で、根本的な打開策は見つかっていない。
自転車、徐行なら歩道OK…警察庁局長の見解 2011年11月21日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111121-OYT1T00227.htm
自転車の総合対策について、警察庁の石井隆之・交通局長がインタビューに応じ、「自転車は『車』との意識を持ってもらうことが目的で、スピードを出す人以外は従来通り、歩道走行で構わない」と強調した。
――なぜ今、自転車対策なのか。
「二酸化炭素の削減や東日本大震災での交通混乱を機に注目を集める一方、歩行者に注意を払わず死亡事故を起こすケースも多くなっている。高齢の歩行者も増える今、あえて強い対策を打ち出した」
――誰でも車道走行しなくてはいけないのか。
「高齢者や子供を乗せた保護者、前かごに荷物を積んだ人などは歩道で良い。ただ、いずれも徐行が原則で、スピードを楽しむ人は車道に降りてもらう」
――どんな自転車が摘発されるのか。
「ブレーキの付いていないピストバイクや、信号無視、指導警告を繰り返しても危険運転するような事故に直結するケースに限る」
――車道での自転車事故が増えるのではないか。
「事故統計上は即座に車道通行が危険とは言えない。ただ、違法駐車を避けて道路中央に寄るのが危険なので、駐停車取り締まりは強化する。また、ドライバーへの指導にも努めたい」
――国民への説明に不十分な点はなかったか。
「多く寄せられた疑問に対する警察庁の考え方をQ&A方式でホームページに掲載した。都道府県警にも街頭指導などで丁寧に説明するよう指示している」
――自転車の走行環境の整備は進むのか。
「自転車の役割や使用頻度は地域によって違う。今後の街づくりにどう生かすか、警察だけでなく近隣住民や道路管理者らとじっくりと話し合った上で長期的に整備を進めたい」
う~ん。そもそも自転車をリヤカーと同一次元で扱う方にも問題があると思いますし、私個人の主観とすれば、成人歩行者の2~3倍の移動スピードでかつブレーキをかければ50センチ位で止まることができる時速10キロちょっとのスピードならば、歩行者に十分注意した上で歩道を走って貰った方がむしろ交通事故は減らせるのでは??? と思うのですが、東京や大阪のオフィス街では、自転車便と呼ばれる車道を高速で移動するメッセンジャーを業としている人も現に存在します(現に私も10年ほど前ですが、大阪のオフィス街で横断歩道が青になったのを確認の上渡ろうとした瞬間 危うく追突されかけてひやっとした経験があります)し、自転車に衝突されたことが原因で半身不随になったり死亡した方本人やその遺族の方から巨額の損害賠償請求を引き起こされ、実際に巨額の賠償金支払い判決も出るなど(民間保険の加入の可否まで議論される程に)社会問題になっているだけに、ある程度の規制強化(警察側から見れば再徹底)も致し方ないのでしょうが、一利用者目線からみれば、ごくごく一部のマナーの悪い方のために、こちらまで巻き添えを食らう形で 車道を走るリスクを課せられることには、どうも納得がいかないものがありますね…(困惑
車を運転する方の中には、車道をゆっくり走っている他の車やバイク・自転車をクラクション等で煽ったりする輩もいますし、一個人としてはそういったマナーのなっていないドライバーこそ率先して取り締まってほしいとさえ思いますが、警察の側も「ゆっくりと走る自転車や子供を乗せた主婦などは、これまで通り取り締まらない」とは強調しているものの、これでは取締基準もわかりませんし、例えば自転車にも速度違反を設けるなり、もう少し客観的でわかりやすい(恣意的な運用にならないような)指標を設けることが必要なのではないかな…と思います。