日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

安倍龍太郎著「等伯」

2015-11-10 | 読書
先月読み終えた本
安倍龍太郎著「等伯」上下 文春文庫刊



今回の直木賞受賞安倍龍太郎、初めて読む作家
こわごわ上巻を買い、すぐに下巻を買いに走った。
オール読み物で冒頭を読んでいたので違和感なく入れた。

興味を持ったのは、4月の山本兼一著、花鳥の夢だった。

安土桃山時代の絢爛豪華な狩野派永徳の永遠のライバル等伯
永徳にとって目の上のたん瘤、
精進してあがいて超一流になろうとも
悠然と歩いて来る等伯・・このように描かれていた。

等伯にとって永徳はライバルであり、評価の定まった巨匠であり
追い付けなくはない存在・・

しかし、この本では実際はこれ以上でなく、これ以下でもないと思わせる
圧倒的な表現力と洞察力
(調べを尽くし想像の限りを尽くしたのだろうが)
人物像と作品を生み出す深層心理まで書かれている(気がする)

表紙となった「松林図屏風」で目指した13世紀の牧谿(もっけい)
読んでいるさなかの新聞記事「本邦初公開!よみがえった等伯・・」とドンピシャリ
小説でありながら実際に即している、見事な調査力
としか言いようがなかった。

多くの展覧会に行きながら、ボンヤリとしか感じなかった
これからは、心して絵の中に入り込まなくてはならない・・

そんな事を思わせる貴重な本でした。
コメント
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