民主党政権が追い詰められて、菅直人首相が退陣するような事態になれば、とんでもないことになると脅かしているのが、現在の日本のマスコミである。サッサと解散総選挙をやってもらって、そこで安定政権をつくればいいのに、「政権交代」「政権交代」と昨年あれだけ騒いだので、内心忸怩たる思いがあって、未練たっぷりなのだろう。しかし、それにしても、菅直人首相を始めとする民主党のお歴々は、あまりにもぶざまだ。菅首相は、自分の点数を上げるために、左派向けのリップサービスとパフォーマンに務めているが、政治感覚のなさは尋常ではない。仙谷由人官房長官が言いだしっぺの韓国への補償問題にしても、スンナリと収まるような代物ではない。そこにまた菅談話が続いたわけだから、責任ある政治家というよりも、単なる口舌の徒でしかない。脱官僚にしても、菅首相には昔の面影はどこにもない。「官僚は国民を信じていない」(『日本大転換』)とあれだけ官僚を罵倒していたのに、今では手玉に取られて、財務官僚の言いなりである。先の参議院選挙の際の消費税発言にしても、裏で糸を引いていたのは財務省なのである。民主党が政権を手にするためには、ある種の準備期間が必要だったのではなかろうか。統治能力のなさが、国民を不安にするからだ。「菅首相でも仕方がない」というあきらめが蔓延しているが、それでは日本の未来はなくなってしまう。一年に首相が何人交代しようとも、現在のような混乱が続いているのよりは、よっぽどましなのである。与党である民主党は、代表選の結果がどうあろうとも、早急に国民の審判を仰ぐべきだろう。政治的な閉塞感を打破するには、それ以外に道は残されていないからだ。
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