中共を労働者の国だと思っている日本人はほとんどいないだろうが、それにしても最近の行動はまさしく中華帝国主義である。思い起してみれば、すでにロシア革命のときから、人類の壮大な実験は失敗に終わっていである。看過できないのは、ソビエトロシアがヒトラーの台頭を手助けしたことである。それは紛れもない事実であって、誰もが否定できない。1928年のコミンテルン第六回大会で、スターリンは当面の主要な敵を社会民主主義と決定した。これによってヒトラーに対する人民戦線の試みは頓挫したのである。さらに、政治に芸術を従属させることを嫌ったトロッキー派の者たちは、自殺か亡命に追いやられたのである。そして大粛清はおびただしい数の犠牲者を出した。松田道雄の『ロシアの革命』をそれを赤裸々に語っている。「17回大会の中央委員のうち、無傷でのこったのは15人であった」「赤軍8万の現役将校のち2万、予備役8万のうち3万が粛清された」「34年から4年間に逮捕され尋問をうけた者は800万人におよんだ」。松田はマルクス主義の同伴者であっただけに、その本を執筆したことで、かなりの精神的なダメージを受けたのだった。あとがきで「リタイアード・ドクターがこんな本をかかねばならなくなったのは、マルクス主義を本職としている学者たちが『ロシアの革命』をかかなかったせいだ。この本をかいたあとで感じるのは被害感だけだ」と嘆いたのである。しかしそれすらも学習せず、ソ連や中共を理想化した勢力が、つい最近まで日本の言論界に影響力を行使していたのだ。歴史を学ばない者たちは、何度でも愚行を繰り返すのである。
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