今年もまた3月11日がめぐってきた。あの日の午後、未曾有の大地震とそれに伴う津波。さらには福島第一の原発事故で東日本は壊滅的な打撃を受けた。天災であるか人災であるか以前に、想定内であったかどうかの議論が今も続いている。貞観11年(869)に大津波が仙台平野を襲った大地震があり、今回の災害は既知のものであったという見方である。しかし、災害や戦争は常に想定外のことが起きるのではないか。それを踏まえての危機管理であるべきだろう。あの時の大津波に関しては、NHKのアナウンサーは声を振り絞るようにして、海岸から離れるように呼びかけていた。それから時間があったにもかかわらず、多くの人が逃げ遅れたのである。いかに大変な事態になっていても、伝達する手段があっても、人々は高を括っていたのである。事前に予想しなかったことが勃発するのが危機であって、想定内であれば危機とは言えないのである。ただ一つ確認すべきは、マーフィの法則のように「悪くなる可能性のあることは、かならず悪くなる」との判断が大事なことだ。あの当時は民主党の菅直人内閣であったが、避難区域の設定にあたって混乱が生じた。最初から最悪のことを想定していれば、あんなことにはならなかったのである。忘れてはならないのは、危機にあたっては、命を投げ出す覚悟のある集団が頼りになるのである。自衛隊はヘリコプターや戦車までもが出動し10万人もが投入された。危険な場所に出かけて働くのは、自衛隊や警察、それから消防であり、その人たちがいなければ、国民の安全は1日も保てないのである。3月17日には使用済み核燃料の冷却のために、自衛隊ヘリがホバーリングをしながら海水を投下した。自衛隊に嫌悪感を隠さなかった民主党の政権が、決死行を命じたのである。東日本大震災と原発事故が教えてくれたのは、危機は予測不可能であることと、対処するためには自衛隊しかないという冷徹な事実である。
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