いかに民進党であっても憲法九条の改正に積極的であれば、それだけで憂国の志士である。代表選に名乗りを上げた前原誠司は京都大学で高坂正堯のゼミにいたこともある。世襲政治家が多いなかで、子供時代に苦労した経験がある。選挙区の事情で自民党で入れなかったとしても、今回が政治家としてのラストチャンスであり、堂々と持論を訴えるべきだろう▼前原は今日、民進党党本部で記者会見し、野党共闘については「次は政権選択の選挙であり、内政や外交、安全保障など考え方の違うところと組むのは野合だ」と述べた。共産党との選挙協力には否定的なのだろう。憲法九条に関しては「立憲主義の観点に立てば、最も不安定な条文だ」と述べ、改正が必要との考えを述べたにとどまり、党内の議論を尊重したいというのは拍子抜けであった▼丸山眞男が「戦後の虚妄に賭ける」と居直ったのに対して、高坂は「現実は飛躍しない」と述べて、70年安保騒動時にも進歩的文化人に与しなかったのである。高坂の『海洋国家日本の構想』名著であった。東洋でもない西洋でもない日本の生きる道を海洋国家に求めたのである。今からでも遅くはない。一国を背負って立つ政治家になるためにも、前原は保守政治家として出直すべきだろう。いざとなれば安倍首相とだって手を組まなくてはならないのである。勝ち負けよりも、政治家としての前原の志のあるなしが問われているのである。
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