東アジアの危機を物知り顔に論じるのは問題である。国防や外交の専門家らしき人たちの意見を聞いていると、あまりにも浅はかに思えてならない。国民が北朝鮮のミサイルに怯えているのは、誰もが予想できない事態が進行しているからであり、これまでの日本がお花畑であったからである。それを放置してきた責任を感じていないのだろうか▼核攻撃に備えてのシェルターも整備されておらず、いざという時の準備はまったくできていない。イージス艦やパック3による防衛網では、北朝鮮が発射したミサイルの全部は撃ち落とせないという。戦後の日本の政治がその責任を果たしてこなかったことで、日本人は座して死を待つ以外にないのである。この二、三日は切り抜けたとしても、朝鮮半島で戦争が勃発する可能性は高まっている。北朝鮮とは話し合いでの解決が難しいといわれる。なおさら北朝鮮の出方に無関心であってはならない。知的なお遊びに付き合っている余裕などないのである▼永井陽之助は『現代と戦略』において、アイゼンハワーの「事前に計画し、予想していなかったことが起きるのが、まさしく非常事態とか危機とかいわれるものの本質なのである」との言葉を引用している。金正恩の行動は予測が付かず、忍耐強くないのがアメリカである。最悪の場合にどうしたらよいかを、安倍首相は国民に伝えるべきなのである。
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新編 - 現代と戦略 (中公文庫 な 68-1) |
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