私たちが手にできる情報は限られている。それでも不吉な予感はなぜかあたるのである。北朝鮮をめぐっての政府の動きは、これまでとはあまりにも違っている。危機が現実のものになりつつあるからだ▼ついに朝鮮半島有事が発生した場合に備えて、大量の難民が日本に入ってくることを想定して、本格的な検討に入ったことが明らかになった。避難民が日本海を船で渡ってくれば、そこに北朝鮮のテロリストや工作員が紛れ込む危険性があるからだ。一旦は隔離し、身元や所持品を調べる必要がある。そのための臨時の収容施設をどこにつくるかで、日本海側のいくつかの港を選定し、その近くに設置することになっている▼政府も次々と手を打っているのである。楽観論は禁物である。航空母艦が三隻に以上にならなければアメリカは武力を発動しないとか、そこまで金正恩は愚かではない、といった議論は、あくまでも希望的な観測でしかない▼1955年にアイゼンハワーは「戦争において唯一、不変な要因は、戦争においては、すべてが可変的で不確実で、予測不可能だということである。つまり、それこそ人間性という要因にほかならない」と述べた。永井陽之助が『現代と戦略』で引用した言葉だが、多くの予期しえないことが起きるのが戦争である。その備えを怠れば命を失うのは日本国民なのである。
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