草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

米中和解の立役者キッシンジャーを批判したドラッカー!

2019年03月21日 | 思想家

我が国にとっての最大の脅威は中国であるが、そうさせた責任はアメリカにある。ドラッカーが1979年の著作『傍観者の時代』(上田惇訳)で述べている通りである。1972年にニクソンが中国を電撃的に訪問し、毛沢東や周恩来と会談して、敵対から米中が和解に転じたのである。その下地をつくったのはキッシンジャーであった▼キッシンジャーの師はクレイマーであり、その影響が色濃いことを、ドラッカーは見抜いていた。彼の友人であったクレイマーは、ナチスとは一線を画す保守主義者であった。ドイツ人でありながら、祖国を離れてアメリカ軍に参加し、陸軍参謀長付政治顧問にまで上り詰めた。新兵に講義しているときにキッシンジャーを知り、目をかけることになったのである▼ドラッカーによれば、クレイマーの外交政策は「大国間のバランス・オブ・パワー」であった。「大国以外の国については、経済力の如何、政治的な絆の如何にかかわらず、無視してよい」との立場であった。それを引き継いだキッシンジャーをドラッカーは厳しく批判したのである。「クレイマー・ドクトリンに一字一句従った形での、日本の頭越しの中国承認、1971年のドル切り下げという二つの日本無視の政策は、まったく必然性のない外交上の大失敗だったといわなければならない」▼逆に日本が大国になるのをバックアップしていれば、今のような混乱は避けられたという見方である。ドラッカーならではの、大胆な仮説ではないだろうか。

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