草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

正統派保守の論客であった福田恆存に学ぶべきだ

2024年01月23日 | 思想家
 保守について「ネトウヨ」「限界保守」「ビジネス保守」とは色々な批判がありますが、日本の思想界をリードしてきたのは、進歩的文化人と呼ばれたサヨクではありませんでした。
 戦前から西田幾太郎を中心とする京都学派は、反近代を先取りするかのような功績を残しました。だからこそ、日本の新左翼の理論家すらも、その影響下にあったのです。西田の門下には梯明秀、和辻哲郎門下には梅本克己、さらに、高山岩男を高く評価したのが廣松渉でした。
 保田與重郎の日本浪漫派についても、吉本隆明、竹内好、橋川文三らが一時期、共感し心酔していたのは確かです。吉本はそれを自ら認めています。
 70年安保騒動の時点でも、日本文化会議が結成され、そこには田中美知太郎、小林秀雄、岡潔、福田恆存らの日本の英知が結集したのです。
 しかし、残念ながら今はそうした思想家が見当たりません。どれだけ情報を持っているかの勝負になっています。だからこそ、私たちは、先人の偉大な思想家に学ばなくてはならないのです。
 常識をわきまえた日本人であれば、どれが本物か偽物かは分かります。それだけになおさら、福田が残した言葉を思い出すべきではないでしょうか。
 福田は日本人が「異常時に興奮しやすい、緊張に堪へられぬ個人の弱さといふことに根本の問題がある」(『常識に還れ』)と指摘するとともに、「日頃から『マス・コミ』を個人の生活の一部に位置づけ、集團的自我にそのつきあひをさせて、個人的自我は深部に取つておくといふ近代人の『精神の政治學』を心得てゐないことに、日本の近代史の弱點があるのだ」(『同』)との見方は正鵠を得ています。
 正統派の保守の論客の主張を理解すべきであって、知ったかぶりの自称ジャーナリストに振り回されるようでは、保守を名乗る資格はないと思います。

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