今回の衆参補選の結果を、自民党は重く受け止めなくてはならない。保守としての立ち位置を明確にした、山口2区、山口4区では圧勝し、社民党の強い参院大分でも辛くも振り切ることができた。
しかし、リベラルな帰化一世を担いだ千葉5区では、自民党の金城湯池であるにもかかわらず、接戦にまで追い込まれた。二階元幹事長のおひざもとの和歌山1区では、自民党が維新に敗北を喫したのである。
わけの分からない候補者や、私利私欲に走るような政治家が陰にいては、いくら自民党であろうとも、岩盤保守がノンという意思表示をしたのである。
これまで岩盤保守は、立民や共産党、社民党、れいわを応援するわけにはいかず、自民党というだけで、仕方なく投票してきた。しかし、もはやそうした時代は終わったのである。
リベラルに舵を切れば、岩盤保守が離れることを千葉5区で痛感したはずだ。奈良県知事選挙で自民党分裂に暗躍した二階元幹事長は、策士策に溺れたのである。和歌山1区で敗れたことで、政界での影響力を失うことになった。
今後の日本の政界は、自民党、維新、国民民主党がしのぎを削るようになるだろう。憲法改正に向けた動きも加速することになるだろうが、自民党が政権の座にとどまるためには、保守色を明確にしなければならない。安倍さんも危惧していたことだが、このままでは党分裂ということになるだろう。その意味でも岸田首相の責任は重大なのである。