統一地方選挙を前にして、法務省が「選挙の立候補者が街頭演説などで『ヘイトスピーチ』をするなど、選挙運動や政治活動に名を借りた差別発言に対して、適切に対応するよう求める」といった通知を全国の法務局に出した。国家権力の匙加減一つで、言いたいことも口にできないのでは、まさしく選挙妨害ではないだろうか。その通知は調査救済課補佐官の名前で12日に送付されたが、そんなことがまかり通っていいのだろうか▼ヘイトにあたるかどうかを判断する権限を、国家権力に渡していいのだろうか。現行法であっても、名誉棄損は処罰の対象になる。わざわざそこまでする必要があるのだろうか。特定アジアの国々を批判するだけで、ヘイトと認定するようなことがあってはならない。どのような意見を選挙戦で述べようと、それは自由でなくてはならない。それこそ多様性のなかから、有権者の判断に任せればいいのである▼いかに過激な言動をする政党があっても、取り締まりの対象にすべきではない。あくまでも言論を通じて争えばいいのであって、それを否定してしまえば、その行き着く先は全体主義国家なのである。人権を振りかざすことで、何でもできると思うのは間違いである。国家権力が頭ごなしに言論を規制するのは民主主義への挑戦であり、断じて許されるべきではないのである。
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